【知的障害】軽度〜重度の知的障害の重症度別理解(軽度、中等度、重度、最重度、強度行動障害、医療的ケア)
こんにちは、ゆうです。
今日は知的障害の重症度3分類というテーマについてお話していきたいと思います。正確には軽度・中等度・重度・最重度の4分類なんですけれども、今回は重度と最重度をまとめて「重度」として、3分類でお伝えしていきますね。
4月・5月の時期って、療育施設にも新しいお子さんがたくさん来られます。保護者さんから「何回教えても覚えてくれない」「同じ場面で同じ失敗を繰り返す」「どう接していいか分からない」というお悩みを聞くことが多いんですね。
その背景には、もしかしたら知的障害というものがあるかもしれません。
今日はその知的障害の分類ごとの特徴や課題、そして支援のポイントについて解説していきます。結論を先に言うのであれば、知的障害があるからダメなのではなくて、「できることを一緒に探していく」という姿勢がとても大事です。今日はそんなお話です。

知的障害はIQだけでは決まらない — 3つの適応機能
昔は知的障害の判断って、IQだけで行われていたんですよ。IQが低かったら知的障害、高かったら違うよ、みたいな。でも最近は違います。
現在の診断では、概念的領域・社会的領域・実用的領域という3つの適応機能を総合的に見ていきます。簡単に言うと、概念的領域は「学ぶ力・考える力」、社会的領域は「人と関わる力」、実用的領域は「暮らす力」ですね。
この3つのスコアが平均的にどれも低い場合に知的障害と判断され、すごく低い場合には重症度が上がっていくという形になっています。
つまり、IQという数値だけじゃなくて、実生活の中でどれだけ困っているかっていうところが重要視され始めているんですね。
正直、僕が見ている限り、日本はまだIQ水準で判断しているケースも多いかなと感じます。ただ、これからはよりこの3つの適応機能を総合して、実生活への影響を見ていく方向に進んでいくんじゃないかなと思いますね。
つまり知的障害っていうのは何なのかというと、特定の能力だけの問題じゃなくて、実生活の中で困り事が多くて、誰かの手を借りないと生きていくのが難しい状態と言えるかなと思います。
軽度知的障害:「軽い」という言葉に惑わされないで
まず軽度知的障害についてです。IQで言うと大体50〜70くらいの範囲と言われています。
生活スキルに関してはできることも多い状態です。トイレに1人で行ける、お風呂に入れる、歯磨きできる、お手伝いもできる。そういった身辺自立はある程度できている可能性が高いんですね。
ただ、読み書き・計算・金銭管理といった抽象的な思考を必要とすることがちょっと苦手なところがあります。大人になる頃に小学校の中高学年くらいの学力・認識がついているような感じかなと思います。
で、ここで多くの保護者さんが「軽度なら安心」とちょっと思ってしまうことがあるんですけれども、正直言って軽度も一般と比べたらやっぱり重い問題なんですよ、本当に。
日本語のマジックというか、「軽度」ってついてるからあんまり大丈夫でしょって思われがちなんですけれども、軽度知的障害を持たれている方は生きづらさを感じている方がとても多いです。
軽度知的障害の中核的な問題:実行機能の弱さ
軽度知的障害の中核的な問題として、実行機能の弱さが挙げられます。実行機能っていうのは物事を達成できる力のことですね。
例えば、何時になったら顔を洗って、歯磨きをして、ご飯を食べて、学校に行く。僕らの生活ってこういう風にタスクが順番に流れていくわけじゃないですか。
でも、この情報の優先順位がつけられなかったり、いっぱい言われると頭がパンクしちゃったりするんですね。
だから、誰かに指示をしてもらうと気持ちよくできるんだけど、「自分で考えてね」と言われると極端に困ってしまう。ここに適切なサポートがあると、ずっと楽に生きられるのは間違いないかなと思います。
気づかれにくいことが最大のリスク
軽度知的障害で特に怖いのが、周囲に気づかれないまま放置されるリスクです。
他人に危害を加えないタイプの子だったり、それっぽく喋れる子だったり、親御さんが「この子に障害があるとは思いたくない」という気持ちが強かったりすると、適切な支援が受けられないまま時間が過ぎてしまうんですね。
結果として問題が大きくなってから気づくことになる。中高生くらいになって「なんで自分はこんなにできないんだろう」と思って、診断を受けたら軽度知的障害だった、というケースはよくあります。最近だと「境界知能」と言われる可能性もあるかもしれませんね。
中等度知的障害:意味の分からない世界を生きている
次に中等度知的障害です。IQで言うと大体30〜50くらい。軽度と重度の間、まさに中間ですね。
このレベルになってくると、勉強はかなり難しくなります。集中して何かに取り組むことが苦手ですし、トイレや歯磨きなども、こちらが指示をして完全にルーティン化されていたらできるかもしれないけれど、教えられていないことに対しては自発的にはやらないことの方が多いかなと思います。
言語的にも流暢に喋れない方が多いので、自分の気持ちを伝えたり意見を言ったりすることもちょっと難しい傾向がありますね。
中等度・重度の中核的な問題:コミュニケーションの断絶
中等度と重度の中核的な問題は、実はほぼ一緒で、言葉や記号(シンボル)を通じたコミュニケーションの断絶というところにあります。言葉で言っても分からない、数字や記号を見ても分からない。だからなかなかコミュニケーションが取れないんですね。
コミュニケーションの媒体となるものがないから、大きな声で泣いたり、暴れたりして意思を表明するわけです。
それは僕らの社会では「良くないやり方」に見えてしまうんだけれども、根本にあるのは言葉の意味が分からない、形や記号を認識する力が弱いということなんですよ。
これはわがままじゃなくて、本当にSOSなんですね。まさに問題行動は氷山の一角で、水面下には「伝えたいのに伝えられない」という苦しみがあるんです。
ちょっと想像してみてほしいんですけど、僕ら日本人が朝起きたら突然インドにいるような状態を考えてみてください。ヒンディー語は分からない、土地勘もない、地図も読めない。何か伝えようにも伝えられない。
多分多くの人は、出歩くよりも部屋の中でちょっと様子を見ると思うんですよね。中等度〜重度の知的障害がある子どもたちは、それに近い状態がデフォルトなんです。
しかも僕ら大人のように「どうすればいいんだろう」と頭の中で考える力もまだ発達途上にあるわけだから、ただただ感情の波が押し寄せてくるけど言葉にならない。それが繰り返されるんですね。
だからいつもと同じルート、同じ場所、同じ人にこだわるんです。変わらないものだけが安心の拠り所になっている。こだわりは安心のための自衛策なんですよね。
重度・最重度知的障害:24時間の見守りが必要な段階
重度・最重度になると、文字や数字もちょっと分からないし、精神的なレベルで言うと3歳以下くらいの感じが生涯にわたって続くイメージです。食事、着替え、排泄といった基本的なことも自立が難しい場合が多く、24時間の介護と見守りが必要になってきます。
重度くらいになると「行動障害」と言って、激しい行動が出る子もいます。最重度になると、元々脳機能に大きな課題があって寝たきりの子どもも該当しますね。
ちなみに、中等度以上の知的障害の多くは、染色体の異常や遺伝子疾患といった生まれ持った要因が関わっていると言われています。
神経のシナプスの先にある受容突起スパインというものに異常があって、情報のやり取りがうまくできないから、なかなか覚えられない・理解しづらいというところがあるんですね。
ただ、最近の最先端研究では、ダウン症などの染色体異常に対しても科学技術でアプローチできるんじゃないかという話も出てきています。今後5年、10年、20年のスパンでは、もしかしたらこういった課題も緩和される可能性があるのかなと感じますね。
知的障害と発達障害の併発 — 脳の「道」が整理できない
知的障害の話をしていますが、実は知的障害と発達障害を併発しているケースがとても多いです。ここではちょっと脳の仕組みの話をさせてください。
脳は0歳〜2、3歳くらいまでシナプスをガーッと大量に作って、その後3歳〜6歳くらいにかけて不要なシナプスをそぎ落としていく「剪定」という作業を行います。6歳頃には脳の約80%ができていると言われていますね。
この剪定を、僕は「道の整理」に例えるのが分かりやすいかなと思っています。自分の家から会社まで行く道って、実際にはたくさんあって入り組んでますよね。
でも僕らは毎回違う道を通ったりせず、効率的な1本の道を大体使う。脳も同じで、無駄な道は通らないから消しちゃっていいわけです。
ところがASD(自閉スペクトラム症)の脳の場合、この道を消す作業がすごく苦手だったりするんですよ。道がたくさんあってどうやって会社に行っていいか分からないから、家の周りでうろうろしている。
でも家の周りだけはすごく詳しい、みたいな状態です。まさに脳の配線が複雑になりすぎているんですね。パソコンで例えるなら、WindowsとMacでOSが違うように、脳の基本設計そのものが違うわけです。
そして知的障害の重症度が高ければ高いほど、この道を整理する力(神経の可塑性)が弱くなります。だから一度覚えたことを変更することが難しいし、こだわりが強くなってしまうのも、ある意味しょうがないところがあるんですよね。
ここまで聞いて分かるように、これは親の育て方の問題ではないんですよ。脳の中に手を入れて剪定を手伝ってあげることなんてできないじゃないですか。
環境の力を借りて外側から誘導することはできるかもしれないけれど、脳の配線の問題はなかなか解決が難しい。だからこそ支援の仕方が重要になってくるわけです。
保護者のバーンアウトを防ぐ「レジリエンス」という考え方
さて、ここからは保護者の方に向けたお話をさせてください。
知的障害の重症度が高ければ高いほど、保護者は24時間体制の緊張状態が続きます。いわゆるバーンアウト(燃え尽き症候群)になってしまうことが多いんですね。さらに、祖父母世代には「親のしつけのせい」という偏見が根強い場合もあって、家族が孤立しがちになります。
ヤングケアラーの問題もあります。お父さん・お母さんがメンタル的にギリギリになってしまって、お姉ちゃんやお兄ちゃんが弟や妹のお世話をするケースもまあまああるんですよ。
そこで大事になってくるのが「レジリエンス」という考え方です。誰か1人だけが負担を背負うんじゃなくて、家族みんなで小さな負担を共有しながら協力していく。
嫌なことやうまくいかないことがあった時に、ちゃんと元に戻れる力を家族として持っておくことが重要だと言われています。
今が本当に辛い人にとって「成長の機会」なんて思えないかもしれません。でも、少しずつでいいから前向きに転換していくことは、長い目で見るとすごく大事なことかなと感じますね。
エビデンスに基づく3つの支援アプローチ
で、具体的な支援の方法についてお話しますね。知的障害の支援には、大きく3つのエビデンスに基づくアプローチがあります。
① 構造化(TEACCHプログラム)
知的障害がある場合、目から入る情報がとても大事です。耳で聞いたこと(音声)は結構抜けていっちゃうことが多いので、目で理解できる環境を作ることが重要ですね。
- パーテーションで視界を区切る
- 絵カードを使う
- 手順を紙に書いて貼っておく
- 集中できる環境を目線レベルで整える
興味のある方は「TEACCHプログラム」で調べてみると、具体的な方法がたくさん出てきますよ。
② 応用行動分析学(ABA)— 肯定的な言葉に変換する
ABAの中で特に大事なのが、否定的な指示を肯定的な言葉に変えるということです。
例えば「早く片付けて!」ではなく「おもちゃを箱に入れてね」。大きな声を出してしまった時も「うるさい!」じゃなくて「ありさんの声で話そうね」と耳元でささやいてあげる。こういう風に伝え方を変えるだけで、子どもの理解度がぐっと上がるんですね。
そしてできたらすぐに褒めること。「かっこいい」「えらい」だけじゃなくて、「靴下履けたね、かっこいい!」「お洋服着れたね、えらい!」と行動と褒めるをセットにするのがポイントです。
③ ポジティブな行動支援(PBS)— 代わりのコミュニケーション手段を作る
叩いたり暴れたりする行動の根本には、代わりとなるコミュニケーション手段が分からないということがあります。だからこそ、ポジティブな行動でコミュニケーションが取れるように支援していくことが大事です。
例えば、「このカードを出したら即座に要求を叶えてあげる」とか、「お願いの手をしたらすぐにお願いを聞いてあげる」とか。叩くとか暴れるとかの危険な行動じゃない方法で伝えられる体験を積み重ねていくんですね。
指導者から伴走者へ — 根性論を手放す勇気
ここは僕がすごく最近大事だなと思っていることなんですけれども、「指導者」から「伴走者」へ姿勢を変えるというところです。
ちなみに僕、すっごく根性論大好き人間なんですよ。めちゃめちゃ根性大好き。でも、知的障害の重症度に合わせて、根性をどこまで求めていいかは変わってくるかなと思っています。
軽度知的障害だと、必要に応じて「頑張ろう」と声をかける場面があります。だけれども、中等度・重度になったら、怒らないし、努力で頑張ろうとは僕は全く思いません。
一度覚えたことがなかなか変更しづらいわけだから、ネガティブなことを覚えて離れられなくなるくらいなら、ポジティブなことを覚えてもらった方がいい。
気持ちや根性でどうにかなるという考え方は、できるだけ手放していった方がいいのかなと感じます。
普通に近づけるための訓練は必要に応じてやります。でも、それだけじゃなくて「特性を活かして幸せに生きる」という観点も同時に持っていく必要がある。
特に重症度が高い場合には、普通に近づけようとすること自体が本人にとって辛いこともあるんですよね。
完璧を求めるんじゃなくて、「今日は100点じゃなくて60点くらいだけど、まあいっか」と前向きに捉え直す。
そうやって本人に圧をかけないことで、本人も前向きにいろんなことができるようになる可能性があります。
もちろん、辛い時には辛いって言っていいし、大変な時は大変って言っていいんです。ただ、前向きに捉える癖も少しずつつけておくと、長い目で見て心のバランスが作れるのかなと思いますね。
合理的配慮と公的リソースは使い倒そう
もう1つ覚えておいてほしいのが、合理的配慮の制度化についてです。発達的なデコボコがある方に対して、できる限り配慮をしていきましょうという法律が整備されています。
- 複雑な手続きをイラスト付きで説明する
- 感覚過敏のために店内のBGMを下げる
- 静かな別室を用意する
- 学校で耳を塞いでいる子を静かな部屋に案内する
逆に言うと、障害を持っているお子さんの親御さんは、必要な配慮を伝えても大丈夫ということです。学校の先生、幼稚園の先生、会社の方に、遠慮せずに伝えていくことが大事ですね。地域の窓口や公的なリソースは、バンバン使い倒していきましょう。
まとめ:「できない」ではなく「できることを探す」探偵になろう
今日は知的障害の重症度3分類について、それぞれの特徴・課題・支援のポイントをお話してきました。最後に大事なことを3つにまとめますね。
- 「なんでできないの」ではなく「どうすれば分かるかな」と考え直して、環境調整を考える探偵になる
- 褒められなくても、「今やってるね」と行動をそのまま言葉にして返す実況中継で十分
- 地域の窓口や合理的配慮の制度など、公的なリソースは遠慮なく使い倒す
僕自身、知的障害のある子どもたちと関わる中で学んだのは、「できない」じゃないということなんですよ。ちょっとずつできるようになっていく。
努力を重ねて地道に続けていった先に、意外とできるようになったことが多くて、その時の感動は本当に大きいなと思っています。
だから、知的障害を持っているからもうダメだ、ではなくて、知的障害があったとしてもできることを一緒に探していきましょう。
そして、お父さん・お母さん、当事者の方は、どうか自分を責めすぎないでくださいね。まだまだできることはあるかもしれないので、ちょっとずつ一緒に探していきましょう。

最後まで読んでくださってありがとうございます。
また次の記事でお会いしましょう。皆様よき療育ライフを。

