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注意欠如多動症の子が人をよく叩いたり、噛んでしまうのをやめさせたい

yuu

こんにちは!ゆう先生です!

今日は、未就学児のお母さんからのご相談にお答えしますね。テーマは、

「注意欠如多動症の子が人をよく叩いたり、噛んでしまうのをやめさせたい」

というご質問です。

相談者
相談者

こんにちは。ゆう先生。

私の息子は5歳児(ADHDの診断あり)なのですが、幼稚園でよくお友達とトラブルになってしまいます。

本人に聞くと、「XXくんが悪いことしたから」という一点張り。私の目の前では、そんな様子を見せないのですけど、

幼稚園の先生から「今日は、XXくんと喧嘩になってしまって…」と言われるたびに心苦しいです。

どうしても手や足が出てしまい、時によっては噛みつきがあるそうなのですが、これはどう治していけば良いのでしょうか?

良い方法があれば教えてほしいです。

というご質問になります。

このようなケースの場合、暴力も問題ですが、その結果として園での生活が難しくなる可能性もあるので、早期に対応できると良いと感じます。

ただ、この問題は昨今解決が少し難しい場合も多いので、できることを淡々と積み上げていくことが大事です!

まず注意欠如多動症の特徴とは?

大きくは3つの特徴があります。

  • 不注意
  • 多動性
  • 衝動性

その中でも、今回のように暴力などの行動は、多動性・衝動性が関わりが強いように感じます。特に衝動性かと思います。

衝動性の特徴としては2点ありまして、

  • 思いついたら即行動
  • 危険への配慮が抜けがち

などが主な特徴です。

注意欠如多動症の特に衝動性が強い子は、思いついたら即行動することが多いので、相手が話し終わる前に口を挟んでしまったり、順番待ちができずに割り込んでしまうことがあります。

また、道路に飛び出す、遊具から飛び降りるなど、先に行動してから「あっ、しまった!」と気づく場合もあり、危険への配慮が抜けがちな特徴もあります。

また「カッ」となったら手や足が出るのも衝動性が強い様子と言われています。

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この衝動性がなぜ出るのか?というと、脳のブレーキがあまり効いていないことが原因とされています。

脳のブレーキは、前頭前野の働きと言い換えることもできますが、何にせよこのブレーキが効きづらいので衝動的な行動をしてしまうようです。

この脳のブレーキは、幼児期はみんな弱いのです。障害のあるなしに関わらず、誘惑や欲望に忠実なところがあるの幼児期ともいえます。

脳は大体25歳〜30歳ごろまで成長すると言われております。特の前頭前野は10歳以降に成長が活発化します。

なので、自然と小学校5年生くらいから「ADHD(注意欠如多動症)の傾向が落ち着いたな〜」なんてこともよくあります。

逆に、年齢を重ねておじいちゃんになったら急に怒りっぽくなった!というのも能力の低下(前頭前野の機能の低下)が原因ではないかと言われています。

であれば、成長を待てば良いじゃん!!って思われるかもですが、

注意欠如多動症の衝動性は一般人が思うよりも、特に幼児期は、ずっと深刻に周りに影響を与えてしまいます。

その一つが暴力だなと感じます。

暴力を止められない。怒られるループ

注意欠如多動症の子達も落ち着いている時には

「あれは悪いことをした」

「次は絶対にしないようにしよう」

と思うことも多くあります。ただ、その習慣になると衝動的に相手を叩いてしまう。

そして大人に怒られる。周りから避けられる。

反省はする。でもまた繰り返してしまう。

というあまり良くないループにはまることがあります。

幼児期は幸か不幸か、様々な嫌なことも寝たら忘れることもできる時期であり、特に注意欠如多動症の場合は長期記憶にすることが苦手な場合もあるので、

あまり本人は気にしていない。というケースもありますが、周りの人は違います。

例えば、大人は注意欠如多動症の子が反省していないと思い、もっと強い言葉で叱るようになるかもしれません。

周りの友達も「叩かれるから嫌」というふうに本人を避けるかもしれません。

特に昔であれば、良いか悪いかはともかく鉄拳制裁的にその瞬間で終われた物事が、最近は本人を隔離したり、ずっと大人がついている方向で配慮する傾向が強いので、

本人のその衝動的な行動で、本人自体の環境がグッと狭くなる可能性があるなと感じます。

落ち着いている時には、その状況に違和感を抱く子もいるわけなので、僕が療育しているADHDの子の中にも

「自分は悪い子」

というセルフイメージを持っている子も結構います。

なので、この子の衝動性が取り巻く環境で起こる可能性がある事象を、この子を見る大人みんなで理解することはとても大事です。

知識と、経験と、勇気を持たせる

さて、ではどうするのか?というと、やることはシンプルで、

  • 様々な知識を身につけて、良いこと悪いことの判断をつけていきましょう。
  • 経験させないのではなく、経験させて失敗もしながら進んでいきましょう。
  • 本人が自分の中の「良い行い」を信じて行動できるだけの勇気を持たせましょう。

僕らが大人が行えることはこんなことかな?と思います。

もしお友達を叩いてしまったら「怪我はない?」という言葉から、子供に共感するところから始めて、

叩くことはよくないこと。

それが社会のルールだということ。

ボクシングみたいな叩くことが良いルールもあること。

でもボクサーだった社会では叩くことはいけないこと。

このように、様々な角度から、この子の知識を深めるお話をしてあげることが良いと思います。

また、最後には「大丈夫!次はきっとうまくいく」と、背中を押してあげて、また失敗するかもしれないけど、本人の経験を大事にしましょう。

ここは、ちょっと神様にうまくいくことを祈るしかないケースも多いですね。

そして、ただその瞬間が来た時に、よくわからない脳の反応に飲み込まれない、行動を制御できる、本人に育てるのが大事かなと思います。

個人的にはそれは「勇気」のような表現で子供に教えることが多いです。

勇気ってちょっと違う場面で使う表現かもしれませんが、この暴力を我慢する過程を子供に教えるのってかなり難しいですよね。

その中で一番(というかポカンな子も多いですが笑)良い例え話が、スーパーヒーローが悪に立ち向かう話であったり、

何かを守るための大切さみたいのが、男の子にはハマる時があるので、よく「君の好きなヒーローだったら〜」をよく言います。

それらも含めて、すぐに効果なんて出ないことばかりなんですが、この脳の中を耕す作業はもう少し大きくなったときに効いてくる可能性があるので、

淡々と必要な話をし続けるのが良いかと思います。

服薬もあり

さて最後に服薬ですが、必要に応じてありかと思います。

僕が先ほどお話しした部分は、あくまで本人の中にある「選択肢」を増やして、可能な限り回避できれば良いかなという部分です。

ただ現実、「毎日、他の子供を叩いてきます」なんて場合もありますし、軽い喧嘩であれば問題ない(問題ないとはいえないけど…)ですが、

大きな怪我の場合には、様々な部分で今後のことを考えていかないといけないので、その選択肢の中に「服薬」はありだと思います。

特に注意欠如多動症の場合は、服薬することで症状が大きく抑えられて、本人も楽に生活できるようになったというケースもよくあります。

服薬に頼るだけでなく、先ほどの知識や経験も継続的にサポートしてほしいですが、まず、この状況をどうにかしたい場合は服薬も検討してみてください。

この場合、診断書をもらった病院に相談すればOKかと思います。

まとめ

今日は、「注意欠如多動症の子が人をよく叩いたり、噛んでしまうのをやめさせたい」と追うテーマでお話ししました。

衝動性はコントロールが難しいというより、コントロールできないと割り切ってしまった方が良い部分も良いです。

コントロールができないから、事前に良いこと・悪いことを教えて、判断が正確にできるようにコンデションを整え、

成功したら大いに褒めてあげて、服薬や環境調整を駆使しながら、本人の成長を祈るって感じです。

周りでサポートする保護者さんは大変だとは思いますが、このパワーが大人になった後に生かされることも多いので、

頑張っていきましょう。

本日はここまでです。

ありがとうございました。

ABOUT ME
ゆう|Yuu
ゆう|Yuu
子どもの発達の専門家
現役児童指導員。一般社団法人dil理事。年間300回以上、通算2000回以上の療育。児童発達の専門家。富山県内の療育施設で主に児童・幼児の療育を行っています。
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