こんにちは、ゆうです。
さて、今日は情緒級と知的級の選び方というテーマでお話ししていきたいと思います。
特別支援学級と一言で言っても、多くの地域ではこの2つに分かれているんですね。ところが、この2つがあること自体を知らないという方が、実はかなり多いんです。
小規模校などでは分かれていなくて、まとめて「特別支援学級」となっているところもあると思います。ただ、多くの場所では情緒級と知的級という形で分かれているかなと思っております。

結論を先に言うんだったら、この2つは入る基準も、学ぶ内容も、その先の進路も違うということです。どちらも少人数で手厚く見てもらえるという点は同じなんですけど、そこから先が結構違うんですよ。就学に向けて情報が欲しい方に向けて、今日はそこを整理していきたいと思います。
情緒級と知的級、まずここが違う
すごく簡単に言うんだったら、情緒級は「部分的に課題がある子」、知的級は「全体的に課題がある子」という分け方になります。
情緒級は、地域によっては「自閉症・情緒障害特別支援学級」という言い方をするところもありますね。知的な課題はそこまでないんだけれども、通常学級の中だと感覚過敏があったり、コミュニケーションがうまく取れなかったり、多動があってお友達と一緒にいることが難しかったり。
そういう場合に入る学級かなと思っております。学習障害やADHDがあって、通常学級の中で落ち着いて活動することが難しい、勉強についていくことが難しい、というケースもここに当たります。
対して知的級は、知的の遅れが見られる場合です。この「知的の遅れ」というのは学習障害とはちょっと違って、勉強だけじゃなくて他の面も含めた全般的な遅れのことを指しています。
情緒級はどんなお子さんが対象なのか
情緒級の対象になるのは、知的検査の結果がおおむね70から75以上のお子さんですね。
なんでこの数字なのかというと、IQが70を下回ってくると、すごく簡単に言えば知的障害という区分に入ってくるからなんです。
そして70から84くらいのラインは、境界知能と言われているところですね。グレーゾーンなんていう言い方もありますよね。85くらいまでを含めて言われることもあります。
おおむね70以上、75以上の場合で、なおかつ生活技能に明らかな問題があるわけではない。そういう場合には情緒級の方に入るのかなと思っております。
全体的な知的の遅れは目立たないけれど、部分的に課題がある。
自閉スペクトラム症やADHDの特性があって、人とのやり取りが苦手だったり、音や光に敏感だったり、予定の変更が苦手だったり、気持ちのコントロールが難しかったり。こういった場合は通常学級での集団生活に困りごとが出ることが多いので、情緒級という選択肢が出てくるという感じですね。
知的級はどんなお子さんが対象なのか
知的級は、検査の結果がおおむね70より下のお子さんですね。先ほど言った通り、ここから下は軽度知的障害という区分に入ってきます。この区分に入る子で、全体的な知的発達にゆっくりさがあるお子さんが対象になる教室です。
物事の概念をつかむこと、言葉を覚えること、順序を立てて考えること。こういう幅広い面でゆっくり育っていく傾向があるのが、知的に課題がある子かなと思っております。
当該年齢と比べたときに、精神年齢でマイナス2歳とかマイナス3歳くらい。乖離が大きい子だとマイナス5歳ということもあるかもしれません。
なお、70より下の場合でも、生活技能が本当にうまくいかない場合や、課題に明らかな困難がある場合には、支援学級ではなく支援学校を選ぶこともあるかなと思います。
ただ、ここまで聞いて「知的障害だともうこれ以上、知的能力も精神能力も伸びないんだ」と思われるのは、ちょっとまだ早いんですよ。
特別支援学級でしっかり学ぶべきことを学んで、療育施設などで必要なことを積み上げていった結果、IQの水準が60より少し上のお子さんは、大人になるまでに小学校中学年から高学年くらいの知的水準にはなると言われております。
そのくらいになれば、誰かのサポートは必要かもしれませんけど、生きていくことは十分できるのかなと思っております。
数字だけでは決まらない。同じくらい見られるのが「生活力」
ここまで数字である程度分けてきましたけど、これはわかりやすくするためにお伝えしているだけで、数字だけで機械的に教室が決められるわけではありません。
知能検査は、受ける検査によって結果が変わってくることもあります。
言葉の理解だったり、見て考える力だったり、覚えておく力だったり、作業の速さだったり。そういうところを総合的に見ていくので、70を下回っているけれど情緒級というパターンもあれば、
逆にIQ水準は85くらいあるんだけれど、いろんなところで支障が大きかったので知的級、というパターンもあるんですよ。
この時期、凸凹のあるお子さんの多くは大きな病院などで心理検査を受けてくると思います。そこで数値が出たときに、お父さんお母さんはびっくりしてしまうんですよね。
あくまで目安です。ただ、目安と言ってもバカにならないというか、客観的に誰かが見るときにはこの数値が参考にされることが多い。
だから参考にはされるけれど、これで絶対に決まるわけではない。まだできることはいっぱいあるよ、という話です。
そしてもう1つ大事なのが生活力です。最近は、知的な能力をIQの水準だけで見るんじゃなくて、日常生活でどれくらい生活できているかというところも見られます。
いわゆる適応行動ですね。知能検査と同じくらい大事に見られるのが、日々の生活をどれだけ自分でできるのか、というところなんですよ。
就学相談を受けると、まさにこういうことを聞かれます。
- 服を着替えられますか
- ボタンは止められますか
- トイレや食事は一人でできますか
- 身の回りのことは大丈夫ですか
ここができないほど知的級の区分に入りやすくなりますし、一人でできることが多いほど情緒級の方になります。
もっとできるのであれば通級による指導になりますし、だいたい自立できていて勉強もある程度問題ないよという場合は通常学級の方になるのかなと思っております。
つまり、数字だけで決まるんじゃなくて、生活力も全部テーブルの上に並べて整理して、最終的に「この子はこっちの方がいいかな」というところを決めていく形なんですね。
学ぶ内容が、実は大きく違う
で、ここからが結構大事なんですけど、実際に入った後の学ぶ内容が違うんですよ。
情緒級は通常学級と同じ内容が基本
情緒級の授業は、ざっくり言うと教科書をちゃんと使います。今まで通常学級で使っている教科書をベースに、同じ進み方で勉強していく形が基本ですね。
国語や算数などもその学年で目指す内容は通常学級と変わりません。もちろん状況によりけりで、当該学年の内容が難しい場合は少し巻き戻ってやっているところもあるかもしれません。
その上で自立活動という時間が加わります。気持ちを安定させる活動だったり、人との関わり方や伝え方を練習する場面だったり。
一般的な学習内容をやりつつ、自分の課題に合わせた内容もやるよ、という感じですね。
6人以下といった少人数で、刺激も抑えた環境で学べるのが特徴かなと思っております。
通常学級よりも手厚く見てもらえて、特に自分の弱みに対してアプローチをかけてくれるので、そういう面では安心できる場所でもあるのかなと思います。
ただ、ここがちょっと難しいところで、情緒級は自分の情緒に課題を抱えている子が多いんですよ。だから少人数だからといって教室内が静かなのかというと、そういうわけじゃない。
結構元気のいいお子さんもいます。子どもによっては、情緒級より通級による指導くらいの方が合うというパターンもありますので、その学校の今の状況を確認してみる必要があるんですね。
そして入った後も、お子さんの状況をモニタリングしていく必要があるかなと思っております。本人がどこだったら一番安心できるのか。ここを考えるのがすごく重要かなと思います。
知的級は学年にとらわれない
知的級はどうかというと、まず大前提として学年にとらわれません。同じ学年の内容ができるんだったら、知的級にはほぼ入らないと思っていいかなと思っております。
学年に縛られず、その子の今に合わせた内容に組み替えることが認められているのが知的級です。下の学年の内容に戻って学んだり、生活の中で必要な力をまとめて学ぶ時間が中心になります。
今できないことに対して、ちゃんと巻き戻って学習できるということですね。
教科書も違います。知的障害のあるお子さん向けの教科書、いわゆる星本と呼ばれるものが使われることが多いそうです。
絵や写真を多く使って、小さな段階を積み上げていく作りになっているんですね。視覚提示物をたくさん使いながら学んでいく形になります。
ちなみにこれ、僕自身よく知らなかったんですよ。学校の先生をやっていた頃、「あれ、こんなのあったっけ」とちょっと思ったくらいで。
昔からあったんだろうけれど、うまく活用しているところと活用していないところがあるのかな、という印象です。ネットでも普通に買えるようなので、僕も一度取り寄せてみようかなと思っております。
教科書って、靴のサイズみたいなところがあると思うんですよ。合わないサイズの靴で走らせても、速く走れないどころか転んでしまう。
一般の教科書を、知的に課題のある子が最初に見ると、文字ばかりで何が書いてあるのか全くわからないんですね。だからこそ、選ぶ前に授業の中身を確認していくことがすごく重要かなと思っております。
就学先はどうやって決まるのか
じゃあ、どっちに行くのかはどうやって決まるのか。ここが大事だと思うので解説しますね。
まず、判断材料は1つだけじゃありません。心理検査や発達検査はすごく大事な材料なんですけど、それだけじゃなくて、保護者からの意見、お医者さんからの意見、幼稚園や保育所からの意見。こういうところを総合して最終的に判断されます。
数字は、テスト勉強みたいなものだと僕は思っています。頑張ってやってもテストで100点が取れないときってあるじゃないですか。
心理検査も、緊張しやすいお子さんだと低く出てしまうことがある。だから明確にその子の能力を表しているかというと、違うときもあるんですよ。
大事なのは、その日の数字に囚われすぎずに、普段の生活の中でできることを増やしていくことかなと思っております。
そして最終的に決めるのは誰なのか。親御さんだと思っている方が結構いらっしゃるんですけど、そうではなくて、最終的に決めるのは教育委員会です。
昔、特に10年前20年前は支援学級に入る子もまだ少なかったですし、今より教育委員会の判断が強かった面はあるだろうなと思います。
ただ最近は、最終決定は教育委員会にあるんだけれども、保護者の意見をしっかり聞くようになっていますね。お父さんお母さんからの意見、幼稚園保育所からの意見、心理検査の結果。それらを客観的に総合して「こちらの学級ですよ」と決める形です。
だから保護者が納得しないまま支援学級に入れられるということはないんですけど、「支援学級の方じゃないですかね」というお話を受けることは、あるかなと思っております。
意見が食い違ったときは
結構ありがちなのが、意見が食い違ったときです。保護者と教育委員会で食い違うこともありますし、お父さんとお母さんの意見が食い違うこともある。
就学時健診が始まる10月11月12月あたりは、心がなかなか安定しないというご家庭も結構あるのかなと思います。
ただ、食い違ったときはやっぱり話し合いを重ねることがすごく重要です。話し合うことで、なんとなく納得はできるんですよね。頑なに「こっちの学級しかダメ」と決めつけてしまうと、子どもの逃げ道もなくなってしまうかもしれません。
この先はわからないんですから、まずは今どっちがいいのかという暫定で決められるところを決めていく。それが大事かなと思っております。
それから、話すだけじゃなくて情報を整理していくことも大事ですね。
情緒級では今どうかな、知的級では今どうかな、在籍人数はどうかな、クラスの雰囲気はどうかな、担任の先生はどうかな。こういうことをちゃんと整理していくのがすごく重要かなと思っております。
この選択は、その先の進路まで繋がっている
最後に、その先の進路の話も少しさせてください。実はここで、2つの学級の違いが明確に出てしまうところがあるんです。
まず高校進学のときです。中学校を卒業するときに、知的級でその子に合わせた内容を続けてきた場合、全日制の高校の入試で求められる学力とは、結構大きな開きが出ることがあります。これは大きな開きです。
ただ、どの県でもそういうお子さんを受け入れられる学校はあると思うんですよ。
全日制じゃなくても、定時制や通信制がありますから、行きたい子が高校に行けないということはないと思うんですね。ある程度選べば、努力さえすれば行けるところはあると思います。
ただ、一般的な全日制高校に知的級のお子さんが入ろうとしたときには、学力水準が全く足りないことの方が多いので、なかなか難しいよねとなります。
そこを目指すのであれば、最初から塾のような場所で勉強していくのか、それとも情緒級で勉強を積み上げていくのか。どこを目指すのかというゴール設定によって、選び方は結構変わってきます。
一方で情緒級は、通常学級と同じ内容を学んでいるため、全日制・定時制・通信制といった一般的な進学先を選べる状態を保ちやすいです。絶対とは言えないですけどね。
お子さんの状態によっては難しいこともあります。ただ、年齢が上がるのに合わせて当該学年の勉強ができているかどうかは、かなり重要な分かれ目になります。
僕も中学生のお子さんの療育をしていて、高校に行かせるときには学力差をすごく見ていますし、その学力で入れる高校を探してあげるという感じですね。
高校進学のときに、学力によって入れる場所の選択肢が明確に変わる。これは覚えておいてほしいなと思っております。
療育手帳が進路の条件になることもある
もう1つ大事なのが、特別支援学校の高等部に進む場合です。多くの自治体で、療育手帳を持っていることなどが条件になります。
お子さんにはやっぱり就職してほしいと思うじゃないですか。家にいるよりは、どこかで仕事をしてほしいなと。特別支援学校の高等部は地元の就職先と連携や提携をしていることも多いので、高等部に進みたいという方は多いと思うんですよ。
でもそのときに、手帳を持っていないと入れないというパターンもあるんですね。卒業後も、障害者雇用や就労を支える事業所につながりやすい仕組みが高等部にはあります。
逆に、知的な遅れを伴わない場合は療育手帳がもらえないので、情緒級を選んだお子さんはこの進路を選べないことになります。
知的に課題がある場合は、ある意味で手帳があることによって本人に応じた場所を選んでもらえたり、サポートしてもらえる可能性が高くなる。
情緒級の場合はそれがないぶん、自分の実力で頑張らなきゃいけないところも出てくるので、そこがちょっと難しくなるときもあるんですよね。
途中で変えることはできる。ただし早めに
入学した後に学級を変えることは、制度の上では全然できますし、最近はこれが結構増えてきているなと思っております。昔は1回入ったら変わらないことの方が多かった印象ですけど、今はそういうわけでもないですね。
ただ、変えられるとはいっても、たとえば知的級から高学年になって急に通常学級に行きたいとなったときには、正直、勉強が追いつかないんですよ。
何を言っているかわからない状態になるので、本人が相当つらい思いをすると思うんですよね。支援学級から通常学級を目指しますというご家庭は、早め早めにできることを増やしていかないと、学力の開きは広がっていきます。
そして自分が選べる選択肢は狭まっていく。
とはいえ、お子さんを焦らせても成長はそれぞれですからね。後になっても変えることはできます。
できるけれど本人がつらくなる可能性もあるから、一番最初のこの時点での選択がやっぱり重要だよね、と僕は思っております。
学校見学で見てほしい2つのこと
就学に向けて学校見学に行かれる方に、見てほしいところを2つお伝えします。
1つは先生の関わり方です。先生方には申し訳ないんですけど、正直、最近はかなり幅があるなと思っております。これは先生たちが悪いわけじゃなくて、本当に先生とお子さんの相性の問題なんですよね。
見るべきは、関わり方が前向きかどうか。子どもがふざけていたり遊んでいたりしても全然注意しない先生なのか、それともちゃんと規律を持たせてくれる先生なのか。
ここで特別支援学級の生活のリズムが全く変わってきます。だからといって怖すぎる先生だったり、強く叱りすぎていたりしたら、それはちょっと考えた方がいいですよね。
理由があってやっているのか、そうじゃないのか。そこを見てほしいなと思います。
もう1つは学校と外の支援の役割分担です。学校である程度は見てもらえそうだなと思っても、賄えないところは必ず出てきます。
そこを放課後等デイサービスや学童、家庭で補うという全体設計を持つことがすごく重要かなと思っています。
学校は確かに支えてくれる場ではあるんですけど、それだけで全部ができるとは思わないで、お家や他の場所でもサポートしてもらえるように、本人が成長できる場を用意していく。ここが大事かなと思っております。

まとめ:入る基準も、学ぶ内容も、その先も違う
今日は情緒級と知的級について、入る基準と学ぶ内容、そして決まり方をまとめてきました。全体的に課題があるなら知的級、部分的に課題があるなら情緒級。
ざっくりとはそう見ていただければいいのかなと思います。ただ、数字だけで決まるわけではなくて、生活力も含めて総合的に判断されるというところは、ぜひ覚えておいてほしいですね。
何よりも大事なのは、相談してみることかなと思います。まずは幼稚園や保育所と相談して、就学相談で教育委員会と相談して、最終的に学校と相談して決めていく。
エネルギーは使うと思うんですけど、この時期はお子さんにとって1つ目の人生の分岐点だと僕は思っておりますので、ちょっと頑張っていただければと思います。
そして、今日この日にどちらを選んだとしても、学校に入ってから成長して支援学級から通常学級に行く子もいますし、逆に難しくて支援学級に移る子もいます。
あんまり深く考えすぎずに、客観的な意見も聞きながら決めていっていただければと思います。僕もこういう情報発信を通じて、皆さんのサポートができたらより良いなと思っております。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
また次の記事でお会いしましょう。皆様よき療育ライフを。

