発達障害の生きづらさの正体とは?脳と社会のミスマッチを理解しよう
こんにちは、ゆうです。
今回の動画では、発達障害の「生きづらさの正体」について深く掘り下げてお話ししたいと思います。

生きづらさの正体は「脳と社会のミスマッチ」
結論から言うと、発達障害の生きづらさの正体は脳と社会のミスマッチが起きているからです。
発達障害は脳の機能障害と言われています。脳機能が一般的な平均値とは少し違う、出っ込み引っ込みがある状態のことを指します。
「発達障害」という言葉を聞いた時、当事者の方は「ちょっと嫌だな」という印象を受けるかもしれませんし、保護者の方は「どうすればいいんだろう」と不安になるかもしれません。
どちらかというと後ろ向きな印象のある言葉ですよね。
でも、これは発達障害が現代社会とミスマッチを起こしていて、その特性がうまく活かせていないから、そう感じるだけなんです。
昔は重宝されていた発達障害の特性
実は、昔の農耕社会や狩猟民族の時代では、発達障害の特性は重宝されるスキルでした。
ADHDの特性が生存に不可欠だった理由
ADHDの特性である多動性や新奇性探求は、狩猟採集時代においては広範囲から資源を見つけ出す探索者としての重要な資質でした。
100年、200年前、さらに遡れば、食べ物を見つけることは生死に関わる重要な課題でした。ADHDのように多動で動き回れる人の方が、食べ物を見つける確率が上がります。新しい場所に行こうとするモチベーションも湧きやすいですよね。
現代だと「落ち着きがない」と見られがちなADHDの特性ですが、この能力があるおかげで、人間が命のバトンを繋いでこれた可能性は高いんです。
ASDの特性が集団を守った
自閉スペクトラム(ASD)のこだわりや感覚過敏も、現代では生きづらさの原因になっていますが、昔は違いました。
全く秩序がなかった昔の世界では、ルールや規則性にこだわるASDがいることで、物作りがうまくいったり、村の掟を作りやすかったりしたと考えられます。
システム化能力や細部へのこだわりは、生活の質を上げていく上で重要でした。また、集団とは別行動をする傾向があることで、集団全体が同じ病気にかかったり、同じ事故に遭ったりするリスクを分散できたんです。
ニューロダイバーシティ(脳の多様性)という考え方
最近、「ニューロダイバーシティ(脳の多様性)」という言葉が浸透してきました。
現代社会が全員ASDだったら、全員ADHDだったら、うまくいかないですよね。ASDもいて、ADHDもいて、普通の人もいて、また違う特殊なスキルを持っている人がいることで、人類は長く繁栄し続けているんです。
発達障害が「障害」として顕在化してきたのは、現代社会が高度化してきた最近のこと。日本でも発達障害という言葉が使われ始めたのは、ここ20年くらいです。高度化する社会の中でミスマッチが起こって、顕在化してきたんです。
本来、人間はみんな同じではなく、それぞれに脳の特徴や個性を持っていて、それを掛け合わせて生活していました。いわゆる分業システムですね。
でも現代社会は核家族化が進んで、分業というよりは「一人で全部やってください」という時代になってきています。だから生きづらさを感じる人が増えているんです。
生きづらさの根源:感覚ゲーティングの不全
もう一つ、生きづらさの根源として重要なのが脳のフィルター機能の不全、専門的には「感覚ゲーティングの不全」です。
通常、脳は不要なノイズを自動的に遮断します。でも発達障害の脳は、このゲート(門)が弱く、エアコンの音や視界の端の動きなど、あらゆる情報が同じ強度で脳内に侵入し続けてしまうんです。
音の情報、視覚で動く情報、他の人が気にならないような情報も、すごく頭に入りすぎてしまう。不要なものを排除して必要なものだけ見る、必要なものだけ聞くという能力がうまくできないんですね。
その結果、頭の中が常に情報の洪水状態になり、脳がすごく疲労します。
普通の人は必要な情報を見て、不必要な情報は忘れる・消すことができます。でも発達障害の方は、必要な情報も不必要な情報も全部頭の中に入ってしまう。それを取捨選択するのは他の人よりも大変ですし、しっかり選び取ることも難しいんです。
膨大な情報を処理し続けなければいけない。処理しているだけで答えを出すことができず、疲れてしまう。本当にエネルギーを必要とするんです。
だから、夕方頃に疲れてくるとパニック傾向が増えたり、逆に無反応になってしまったりします。これは性格の問題じゃなくて、脳機能の問題で、脳が限界を迎えた結果なんです。
学校という環境が生む生きづらさ
学校は、発達障害の脳にとって特に厳しい環境です。
均一化された環境の問題
学校では、同じ机に座って、同じ授業を聞いて、同じように答える。与えられた、最初から答えが決まったことを答えていく。狭い空間に大人数が密集している。
こんな環境だと、情報を取りすぎたり、取捨選択がしづらい発達障害の脳は、情報がいっぱいになりすぎて、パンクしてしまうことがあります。
教室の反響音、給食の匂い、覚醒レベルを維持するための立ち歩き——普通の人は気にならないことも、発達障害の子どもたちにとっては大きなストレスになるんです。
暗黙のルールとコミュニケーションの難しさ
学校には、明文化されていない社会的スキル、いわゆる暗黙の了解がたくさんあります。
特にASDの子どもは、この「空気を読む」ということができなかったり、ローカルルールが分からなくて地雷を踏んでしまうことがあります。その結果、いじめや疎外の対象になりやすいんです。
これが分かる子の場合、そういう場所にいたくないですよね。人間は集団で生活しているので、集団から弾かれる行動はすごくストレスです。だから不登校や二次障害につながってしまう。これはしょうがないことなんです。
大人になってからの生きづらさ
会社での人間関係の悩み
仕事の内容自体はそんなに嫌いじゃなくても、人間関係に悩む方は多いのではないでしょうか。
日本特有のメンバーシップ型雇用や、チームの輪を重視する職務内容では、臨機応変な対応が重視されます。決まったことをやるのではなく、「なんとなくこの時にはこうしよう」みたいなことになる。
これがASD的な要素を持っていると、ルール違反に感じてしまうんです。相手は別にそう思っていないし、むしろ良かれと思ってやっていることでも、こちらからすると「ルール違反じゃないか」と感じてしまう。
ADHD的な要素が強ければ、マルチタスクが苦手になります。そして現代社会、特にホワイトカラーではマルチタスクが当たり前になってきました。メール、電話、資料作成など、仕事が山盛りになる中で、ワーキングメモリーの弱さがあるとミスが連発してしまうことも。
グレーゾーンの孤立
特に辛いのが、発達障害の診断は受けていないけど特性上の問題はあるグレーゾーンの方です。
自分の気持ちや感覚が相手に伝わらない、伝わりきらない。それに対して愛想笑いしてしまったり、諦めてしまったりする。必死で普通になろうと思うんだけど、結局普通にはなれないんです。
本当は分かって欲しい。本当は理解して欲しいし、こんなに苦しみたくない。でも周りは分からないし、求めようとすると逆に失敗してしまう——こういった孤立が、燃え尽き症候群(バーンアウト)やうつ病につながることもあります。
現代社会は脳にとって負荷が強すぎる
現代のデジタル環境は、感覚の脆弱性を持つ脳にとって、まさにDOS攻撃のような状態です。
情報がずっと頭の中にとどめなく入ってきて、ひたすら疲れる。処理できないわけじゃないけど、処理するのに疲れる、ということが起こり続けます。
具体的には:
- SNSの通知
- 無限スクロール
- 仕事のメールが常に届く
- 子育て、仕事、家事を一人でこなさなければならない
昔は違いました。集団で生活していた頃は、こうじゃなかったんです。でもどんどん個人化していった結果、この社会とうまくいかない人が出てきている。
これは今、発達障害だけの問題ではなく、一般的な人たちも結構ここで課題を抱えやすい傾向があると、私は感じています。
生きづらさを和らげる方法
最後に、私が実際の療育で効果があったものを含めて、生きづらさを和らげる方法を紹介します。
1. 必要に応じて薬物療法を取り入れる
特にADHDの傾向を持っている方の場合、必要とあれば薬物療法を取り入れると、生活の質が結構改善します。
薬で特性を抑えたら、分からなかったことが分かるようになるんです。例えば、ADHDで頭が多動な子が薬を飲むことで、頭の中の整理整頓ができるようになったら、毎日の習慣の中で少しずつ覚えられることが増えていきます。
ただし、薬に依存するのではなく、計画的に使っていくことが重要です。困り感がある方は、まず病院の先生に相談してみてください。
2. 合理的配慮を活用する
2024年から、合理的配慮が義務化されています。
障害があって仕事や学習がうまくできない場合、それに配慮してもらえるんです。全てを配慮してもらえるわけではありませんが、例えば聴覚過敏がある子どもが、イヤーマフをつければ授業を受けられるなら、それは認められます。
必要なことは学校や会社に伝えてもいい、と法律で決まっています。困っていることがあるなら、真摯に相談してみることが重要です。
3. マインドフルネスと深呼吸
療育でやっていて、これが一番結果として大事だったと思うのが、マインドフルネスと深呼吸です。
具体的には:
- おでこトントン(人差し指でおでこを何回も叩く)
- 深呼吸
これは一回二回では全然効きませんが、半年、一年やってきた子どもと、初めてやった子どもの落ち着きの差は歴然です。深呼吸が上手にできるようになってくると、総じて落ち着けるようになってきます。
アクションプラン: 大人の方なら、お風呂に入って上がったら必ずストレッチをする。その中で必ず息を整える時間を3分でも、4分でも、5分でもいいから作る。脳の反応を一旦抑える訓練をしていくと、その後の生活がやりやすくなります。
続けられない時もあります。でも、また調子が戻ったらすぐにやり始める。できない時もあっていいけど、やり続けることが重要です。
4. 当事者研究:感情を客観視する
パニックやこだわりを自分自身と同一視しないことも大事です。
客観的に見て、「今、イライラさんが出た」「爆発君が出た」「パニックさんが出た」みたいに、自分を客観的に、感情を見る癖をつける。実際に書き出してみたり、言語化していくと、自分を捉え直すことができます。
感情と自分を少し切り離していく、つまりメタ認知していく癖をつけることで、「なぜそれを感じているのか」に気づけるようになります。気づけるようになると、「だからこうしよう」がやりやすくなるんです。
自分の気持ちがざわざわしたら名前をつける。人に共有すると、笑い話になったりもします。このリフレイミング(捉え直し)が、楽になるコツです。
5. 仏教的な視点:今ここに焦点を当てる
仏教的な観点では、過去の報いや「今までこうだったから」ではなく、今ここで自分がどうするかを考えていくことが大事だとされています。
世の中は苦しいことばかり。でも、その苦しい世の中で、いかに自分が楽しんでいくか、うまくやっていくか。
うまくいかないからおしまい、できないからおしまい、生きづらいからおしまいではなく、まずは自分ができる範囲からできることをやってみる。
今ここで苦しいことを一旦受け止めて、その上で何をしていくか、どうしていくかが大事です。
発達障害は現代社会とミスマッチを起こしているけれど、現代社会の中でも本人とミスマッチを起こさない環境もあります。大変だけど、できれば一人でやらないで、自分に合ったことを見つけていくことが大事です。
まとめ:生きづらさとどう向き合うか
生きづらさは、簡単に言うと今の社会とミスマッチを起こしているということ。だから、ミスマッチを埋めていくしか、生きづらさを解決する方法はないんです。
でも、仏教的な観点で言えば、その生きづらさを埋めたとしても、その後また違う辛さがやってくる可能性は十分にあります。

だから、今自分がどう思っていて、どう感じて、それに対してどんなことができるのか。それをあまり深く強く思い込みすぎずに、できることから少しずついろいろやってほしいと思います。
大事な3つのポイント:
- 科学的な理解:脳の特性を知ること
- 環境の調整:薬、AI、合理的配慮などを活用すること
- 意味の再構築(リフレイミング):自分の考え方を変えてみる、頭を空っぽにする時間を作る
そして、人と関わることも大事です。一人二人でもいいから、自分と同じことをやってくれる人、同じ気持ちになってくれる人を見つけていくことは重要です。
生きづらさの根源は現代社会とのミスマッチ。現代社会は人の集まり、人の思いでできています。だから、その中でも自分と合う人を見つけていくと、現代社会の中でもライフハックできる可能性が高いんです。
今日の内容が、皆さんの生きづらさを少しでも和らげるヒントになれば嬉しいです。
それでは、皆様よき療育ライフを。

