【重要】境界知能の子は療育手帳を取れるのか?軽度知的障害との線引き。発達障害の併発の場合は別の選択肢も。

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    こんにちは、ゆうです。

    今日は「境界知能の子は療育手帳を取れるのか」というテーマでお話ししていきたいと思います。

    またまた境界知能と軽度知的障害に関わるお話です。

    「境界知能って何なのか」「軽度知的障害って何なのか」という話は、この前の記事で書いていますので、まだの方はそちらから読んでいただければと思います。

    今日はその続きですね。

    「じゃあ支援は受けられるの?」「うちの子はどっちなの?」「何もないの?」と気になった保護者の方が結構いたかなと思うんですよ。

    アンサー動画というわけじゃないけど、その疑問に答える回として作っています。

    結論を先に言うと、療育手帳は境界知能でも取得できる可能性があります

    ただし、境界知能の中でもIQがおおむね70から75程度、つまり軽度知的障害にかなり近いレベルの場合です。

    そして、この線引きは自治体によって変わります。今日はそんなお話です。

    目次

    境界知能と軽度知的障害、線はどこにあるのか

    境界知能と軽度知的障害は、結構似ている要素があります。

    というか、困りごとに関してはほぼ一緒なんじゃないかなと僕は思っています。

    じゃあこの2つは何が違うのか。まずここが重要ですね。

    おさらいすると、境界知能は知能検査でおおむねIQ70から84に当たる状態で、病名でも障害名でもありません。

    療育手帳は基本的に知的障害のある人に交付される手帳なので、IQ70以上の境界知能は原則としては対象外なんですよ。

    ただ、今日のテーマとしてすごく重要なのは、これはあくまで「原則」だということ。

    自治体によっては、IQ70で線引きせずに、75までを判定の土台に乗せて、生活の困り度を見て交付することがあります。

    僕も全ての自治体を紹介できるわけじゃないんですけど、自治体によっては境界知能でも手帳の範囲に入る。まずここを覚えておいてほしいなと思います。

    一方、軽度知的障害はおおむねIQ50から69で、生活面での困難が続いている状態に診断されます。

    こちらは正式な診断名なので、境界知能とは明確に別物です。

    療育手帳の対象になっていて、多くの自治体でBとかB2とかの軽度の区分に認定されます。

    実は手帳には区分があるんですよ。富山だとAとBがあって、Bが比較的軽い子、Aが重度の子。他の自治体だとB2、B1、A2、A1の4区分になっていたりします。

    手帳があると、療育、特別支援学級、将来の障害者雇用、税の減免など、いろんな制度が受けやすくなるのは間違いないかなと思っています。

    診断がつくことを怖がる方は多いんですけれども、基本的に本人を守ってくれるための手帳です。

    だから、必要であれば取得した方がいい。ただ逆に「将来が心配すぎるから頑張って取ろう」となるのもちょっと違うのかなと思います。

    手帳は、本人に必要であれば取得するもの。そう思っていていいのかなと思います。

    療育手帳の基準は、法律で決まっていない

    もうちょっと掘り進めます。

    すごく大事なこととして、療育手帳の交付基準は法律で決まっているわけじゃないんですよ。根拠になる法律がないんですね。

    身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳は全国で一律です。

    でも療育手帳は、自治体によってラインが変わる。

    大枠は一緒なんです。70以下が軽度、50以下が中等度、といったラインは大枠で決まっている。

    ただ「どこから手帳を出すか」は自治体に任せられていて、特に軽度に関してはそうです。

    A県は70、B県は75、C県は70、みたいなことがあるわけです。

    で、僕が調べたところ、全国129か所を対象にした国の調査では、軽度の上限をIQおおむね75とする場所が52%、おおむね70とする場所が27%でした。

    つまり、日本の半分以上の地域では、境界知能でも療育手帳をもらえるんですよ。

    ただ、それでもIQ75程度までです。IQ80とかの境界知能だと、手帳の取得はちょっと難しいかなと思います。

    地域によってばらつきがあるということは、A県で交付されたのにB県に引っ越したら交付されない、という可能性もあり得るということ。

    特に、IQが75、76、77くらいで数値は高めだけど困り感が強い、という場合には、ラインが70の地域だと「それは対象外です」と言われちゃうかもしれない。

    自分の住んでいる自治体のラインを調べておく。これは大事かなと思っています。

    富山県の場合:おおむね75以下+3つの要件

    僕が住んでいる富山県を具体例として1つ説明します。

    富山県の場合は、IQおおむね75以下です。ただ、交付の要件が3つあります。

    • IQがおおむね75以下であること
    • 適応行動の障害によって支援を必要とする状態であること
    • 発達期(0歳から18歳)に現れていること

    適応行動って何なのかというと、学校や幼稚園、職場といった場所で生活がうまくできていますか、というところ。

    あとは、お家の中で服を着られますか、ご飯を食べられますか、といった身辺の自立ですね。

    社会生活をうまく生きていくことができていますか、というところを見られます。

    この3つを含めて最終的に交付されて、区分はAとBの2つです。

    ただこれ、富山県には申し訳ないんですけど、区分が2つしかないからか、療育をしていて個人的には「Aだな」と思う子がBの判定をもらうこともあります。

    2区分だと、Bに軽度から中等度くらいまで入っちゃうのかな。「いや、この子は結構厳しいんだよな」という子がAをもらえなかったりするので、本当に難しいラインだなと思うところもあります。

    何にせよ、要件に該当すれば、軽度知的障害じゃなくて境界知能だったとしても、療育手帳が交付される可能性があります。

    IQの数値だけじゃなくて「こんな困りごとがあって」ということを市に話す。これがすごく重要かなと思います。

    ただ、いろんなケースを見ていて正直に言っておくと、IQ76以上になっちゃうと原則もらえていないよな、というふうには思っています。

    見られているのは、数字より生活

    ここまで数字の話をあれこれしてきましたが、やっぱり大事なのは生活の面です。

    IQの数値が高めに出たとしても、身辺の自立ができていない、介助が必要、パニックになりやすい。そういう困りごとが大きければ「交付しないと困るよね」という形になると思います。

    ちなみに、判定するのは児童相談所です。

    児相は何を見るのかというと、知能検査だけじゃなくて、日常生活の能力の調査が必ず入るんですね。

    • 指示がわかるか
    • 読み書きができるか
    • 簡単なお金や時間の管理ができるか
    • 集団のルールがわかるか
    • 身の回りのことができるか

    IQの数値と、こういう日常の能力を総合的に見た上で、最終的に交付されるかどうかが決まります。

    見られているのは、数字よりも生活。IQという一つの数値ではなくて、適応行動の方なんです。

    IQの数字は、一発で決まらない

    この章で最後に言いたいのは、数字って結構変わる、ということです。

    知能検査の数字は本当に幅があるなと思っていて、結果表には「信頼区間」というものが書いてあるんですよ。

    心理検査の結果表を持っている方はちょっと見てほしいんですけど、バチッと入っている数値だけ見て、信頼区間を見ない人が結構います。

    信頼区間というのは「この数値の間には該当しますよ」という幅のこと。

    幅が書かれているということは、その日の体調や環境によって知能指数が上下する可能性がありますよ、ということなんですね。

    幼児期にすごく低く出た子が、何年かしたら10ポイント以上変わるなんてことも、僕はいっぱい見ています。上にも上がるし、下にも下がる。

    だから、その時の数値を完全にあてにするのはちょっと間違っているのかなと思います。

    すごく調子が良くて数値が高く出たからといって、もう療育手帳を取得できないのかというと、そういうわけじゃない。

    「やっぱりこれおかしいよね」「困りごとあるよね」という場合には、また心理検査をしてみることも大事かなと思います。

    数字は写真と同じで、その瞬間を切り取っただけのもの。大事なのは、それ以外の複合的な要素もあるということを覚えておいてほしいなと思います。

    手帳が取れなくても、多くの支援は受けられる

    さて、ここまで療育手帳を取るためにあれこれ言ってきましたが、じゃあ取れなかったらどうなるのか。

    結論から言っちゃうと、療育手帳がなかったとしても、多くの支援は受けることができます。

    放課後デイや児童発達支援に必要なのは「受給者証」

    子育て中の現役世代の方に誤解が多いのが、「手帳が取れないと放課後デイや児童発達支援が使えない」と思われているところ。

    実はこれ、手帳とは全く関係ないんです。

    放課後デイや児発に行くために必要なのは、受給者証というもの。療育手帳とは全然別のものです。

    例えば、幼稚園で発達の困りごとを指摘されて病院に行きました。「これは療育が必要だね」と言われて、診断書や意見書をお医者さんからいただく。

    それをもとに計画を作って、最終的に施設に通うようになる。そのときに必要なのが受給者証であって、療育手帳ではないんですね。

    ややこしいですよね。手帳が「身分証」だとしたら、受給者証は「施設に通うためのチケット」みたいなイメージです。

    施設に通うために必要なのは受給者証。手帳は絶対とは言えません。

    富山市だと市のこども関係の課が窓口です(名称が変わっていたらすみません)。3歳から5歳は児童発達支援が無償化の対象なので、困りごとがあればこの時期に受けてみることは重要かなと思います。

    通級・特別支援学級にも手帳はいらない

    学校の方も実は一緒で、通級や特別支援学級に手帳はいらないんですよ。

    手帳がないと通級に行けない、支援学級に入れない、ということは全くないです。

    どこで判断するのかというと、教育委員会が教育的な必要性で判断します。近年はお父さんお母さんの意向を結構くんでくれるところも多くなってきています。

    知的障害に該当する子は、特別支援学級の中でも知的級に該当することが多いです。

    境界知能の子の場合はどこに区分されるか難しいときもあって、知的級にそのまま入るときもあれば、自閉症・情緒障害学級、いわゆる情緒級に入るときもある。ここは学校の体制によって変わるなという感じです。

    何にせよ、通級や支援学級に入る要件として手帳は求められていません。

    もう一つの手帳と、特別児童扶養手当

    手帳を取得する理由は、多分子供の将来のことを思って、だと思うんですけれども。

    例えば境界知能でIQが83、でも同時に自閉スペクトラム症やADHD、学習障害の診断がついている場合。

    無理に療育手帳を取ろうとしなくても、精神障害者保健福祉手帳という別の手帳を取得することもできます。

    ざっくり言うと、どっちか持っていればいい。療育手帳か精神障害者保健福祉手帳か、2つ持ちする必要はないんです。

    こっちも税の控除、交通の割引、将来の障害者雇用につながるものなので、発達障害がある場合はこっちの取得を目指した方がいい可能性もありますね。

    療育手帳にこだわらずとも、困りごとに応じた手帳がある。これを覚えておいてほしいなと思います。

    で、お金の問題として、特別児童扶養手当をもらえればという方もいると思うんですけれども。

    正直に言うと、境界知能だけでこの手当をもらえたケースを、僕はあまり知りません。

    知的障害だけの理由、境界知能だからという理由では原則対象にならなくて、パニックなどいろんな困りごとを含めて対象になるものです。

    1級と2級があって、1級の方が金額が高い。取得できない可能性もありますが、困りごとが多い場合はもらえる可能性もある、ということだけ覚えておいていただければと思います。

    明日、どこに何と言おうか

    ここまでの話をまとめると、境界知能でも療育手帳を取得できる可能性はあるし、支援を受けられる可能性もある。場合によっては他の手帳や手当という道もある。

    じゃあそれを手に入れるために、明日どこに何と言おうか。ここがすごく大事です。

    持ち物:検査結果と「困っている場面のメモ」

    一番大事なこととして、心理検査や知能検査の結果は必ず持っておいてほしいなと思います。

    その上で、生活に困っている具体的な場面のメモが相当重要です。

    指示を一度で理解できない、追いつかない、身支度に時間がかかる、集団でパニックになりやすい。日常生活の困りごとは全部書いてほしいなくらいの感じですね。

    IQが75でボーダーラインだったとしても、「やっぱり困り感が多いよね」となれば交付されるかなと思います。必要なのは数字だけじゃなくて、困っている場面のメモです。

    連絡先:市の発達支援の相談窓口

    どこに連絡すればいいのかというと、発達支援の相談窓口はどこの県にもあります。児童発達支援センターとか、富山市で言うとまちなか総合ケアセンターみたいなところですね。

    手帳の取得が目的なら、最初に市に連絡しておいた方がいいかなと僕は思います。

    ただ、単純に療育を受けたいだけなら、相談窓口でもいいし、普通の小児科でもいいし、大きな病院でもいいし、最初から療育施設でもいい。どこからでも必ず最後はつながっていけるので、どこでもいいから電話してみるのが一番良いのかなと思います。

    台本:窓口でこう言えば伝わります

    窓口で言うこと
    お母さん

    「知能検査で境界知能と言われました。手帳の申請ができるかと、放課後デイや児童発達支援の利用について相談したいです。」

    これをそのまま言ってもらえれば、大体伝わると思います。

    手帳の申請が必要ならそっちに進むし、放課後デイや児童発達支援の利用なら受給者証の取得に進んでいく。何にしても、これをそのまま言ってもらえればほぼ大丈夫かなと思っています。

    取った後:更新は保護者の仕事

    最後に、無事に手帳を取得できました、となった後の話。

    手帳には次の判定の年月が書かれています。

    富山市や富山県の場合、更新のお知らせは届きません。他の自治体はちょっとわからないんですけど、お知らせしてくれたら親切ですけどね。

    期限の2、3ヶ月前に、保護者が自分で窓口に行く必要があります。

    取った後の管理も親の仕事。これは覚えておいてほしいなと思います。

    まとめ:境界知能でも取れる。でも見られるのは数字より生活

    今日言いたかったのは、境界知能でも療育手帳を取得できるんですよ、ということ。

    ただ、それでも軽度知的障害に近いライン、IQ70から75の間くらいまでです。

    そこに該当した上で、生活の困り度によって取得できるかどうかが変わってきます。

    だから、生活の困り感は必ずメモに残しておいてほしい。そう僕は思っています。

    療育を受けるだけなら、受給者証を取って支援施設に行くこともできるし、通級や支援学級に在籍することもできます。

    療育手帳を取得しなきゃ支援を受けられない、というわけではありません。

    この先のことを含めて手帳を取得するなら、発達障害の診断がある場合は精神障害者保健福祉手帳という道も残っていますので、どちらを取ってもいいんじゃないかなと僕は思っています。

    最後まで読んでくださってありがとうございます。

    また次の記事でお会いしましょう。皆様、よき療育ライフを。

    ゆう先生
    相談支援員・児童発達支援員
    富山県富山市で児童発達支援、学習支援、相談支援などを行なっています。またYouTubeやInstagramなどでも療育のアレコレを発信中。
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