【比較】アスペルガーと高機能自閉症は何がちがうのか?|自閉スペクトラム症の分類について

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こんにちは、ゆうです。

今日は「アスペルガーと高機能自閉症、何が違うのか」というテーマでお話ししていきたいと思います。

皆さんは、アスペルガーと高機能自閉症という言葉を聞いたことがありますか。

実は近年、この言葉を聞かなくなってきたなというところがあります。

最近はアスペルガーという言葉もASDに置き換わっているし、高機能自閉症という言葉もASDに変わっています。

ASDというのは、自閉スペクトラム症のことですね。

なんで名前が変わったのか。そもそもアスペルガーと高機能自閉症は何が違ったのか。

今日はそこを解説していく回になりますので、名前の違いが気になるなという方は、よかったら最後まで読んでいただけると嬉しいです。

結論を先に言うと、この2つを分けていたのは「幼児期に言葉の遅れがあったかどうか」だけ。

そして、診断名が変わっても、受けられる支援は変わりません。今日はそんなお話です。

目次

自閉症・アスペルガー・高機能自閉症、3つの違い

まず、何が違ったのか、というところですね。

アスペルガーと高機能自閉症、あと実は「自閉症」というパターンがあって、今はそれを含めて全部で自閉スペクトラム症になっています。

昔の分け方はこんな感じです。

  • 自閉症:知的な遅れがあり、言葉の遅れもある
  • アスペルガー症候群:知的な遅れも、言葉の遅れもない
  • 高機能自閉症:言葉の遅れはあるが、知的な遅れはない

アスペルガー症候群は、感覚的な過敏があったり、コミュニケーションがうまく取れなかったりする。流暢に喋ることはできるんだけど、会話がちょっと一方的になっちゃったりする感じですね。

目安として、2歳とか3歳くらいまでに単語や2語文が出てきているかどうか、というところを見られます。

言葉の発達はそれなりにあって、知的な遅れもなさそうなんだけど、コミュニケーションがうまくいかない、感覚的な偏りやこだわりが強そうだな、という場合に診断されていたのがアスペルガー症候群です。

文科省の定義でも「知的発達の遅れを伴わず、言葉の発達の遅れを伴わないもの」となっています。

対する高機能自閉症は、3歳くらいまでに言葉の遅れがあったんだけれども、知的な遅れは伴っていない状態です。

知的障害のラインはおおむねIQ70なので、それ以上のIQを持っていて、自閉的な傾向や言葉の遅れがある場合に高機能自閉症という言い方をされていました。

で、ここがちょっと面白いところなんですけど、実は高機能自閉症というのは正式な診断名ではなくて、国際的な基準に載ったことはないんですよ。

高機能自閉症は、日本の医療や教育の現場で使われていた、日本の言い方だということを覚えておいていただけると嬉しいです。

分けていたのは「3歳までの言葉の遅れ」だけ

さて、アスペルガーと高機能自閉症を分けていたのは何かというと、3歳くらいまでの言葉の遅れがあったかどうか。

実はね、その一点だけなんです。

それ以外はほぼ一緒。対人関係が難しかったり、こだわりがあったり、感覚の過敏さや鈍さ、偏りがあったりする状態ですね。

自閉症の中身はどっちもほとんど変わらない。

言語をうまく扱えるならアスペルガー、言語に遅れがあれば高機能自閉症。

WindowsとMacくらい別物のOSだと思われがちなんですけど、実際は同じOSの中の設定が少し違うくらいのもの、というイメージです。

まずここを押さえた上で、次がすごく重要になってきます。

成長すると区別がつかなくなる

じゃあ、なんで今はこの2つがASDという言葉に置き換わっているのか。

自閉スペクトラム症というのは、日本で言うと、自閉症とアスペルガー症候群と高機能自閉症の3つが合体して一つになったものです。

その中で特にアスペルガー症候群と高機能自閉症は、成長すると区別がつかなくなると言われているんですね。

幼児期に言葉が遅れていた子供も、学童期くらいになってくると語彙が増えたり、文法の整った会話ができるようになってくることが多いです。

正直、会話を聞いているとちょっと偏りがあるなという感じはします。

それでも「小さい頃と比べたらだいぶ喋れるようになって安心しています」という親御さんも多いです。

おたまじゃくしの頃は尻尾の長さで見分けがついても、カエルになってしまえばどっちがどっちかわからない。そんな感じですね。

だから、小学生に上がった後に診断を受けている自閉傾向のある子供に関しては、正直、今の様子からだとどっちか区別ができないわけですよ。

区別がつかなくなったから、最終的に「基本的に一緒じゃない?」という話になっていくわけですね。

病院によって診断名が変わっていた

もう一個、これが結構大事な問題なんですけれども。

アスペルガー症候群と高機能自閉症は、病院によって診断名が変わるということもあったと言われています。

複数の医療機関を対象にした国際的な調査で、同じ状態の子供でも、受診した病院や医師によって診断名がバラバラになっていたことがわかっています。

言葉の遅れがあるのにアスペルガーと診断されたり、言葉の遅れがないのに高機能自閉症と言われたり。

「特定不能の広汎性発達障害」というのも、診断名として書かれることが多かったです。

つまり、どこの病院に行ったか、どの先生に診断を受けたかで名前が変わっちゃう。

「どこで診てもらったか」で名前が決まっていた現状をどうにかするために、同じような要素があるんだから自閉スペクトラム症にしましょうか、という話になっていくわけです。

明確なラインがない。だから「スペクトラム」

プラス、これもすごく大事なことなんですけど、名前が違うと僕らは全然違うものだと認識しがちなんですよね。

でも実際は、アスペルガーと他の自閉症の明確なラインというのは、脳の画像研究や遺伝子研究が進んでも、あんまり見つかっていなかったんです。

科学が発達してくれば、もしかしたら見分けがつくようになることもあるのかもしれない。

ただ基本的には、大枠で見たら一緒じゃない?ということですね。「ここからはアスペルガー」という線引きがないわけですよ。

人によっては、部分的に高機能自閉症的な要素がある、ということもあり得る。

特性の強さや組み合わせも人それぞれだし、最近は自閉スペクトラム症だけじゃなくてADHD(注意欠如多動症)も併発している子供が多い。

明確なラインがあったら僕らはわかりやすいんだけれども、そういうものがない。

正直に言うと、少しずつ連続しているグラデーションなんですよ。ここは濃いけど、ここは薄い、みたいな。

だからアスペルガーも高機能自閉症も自閉症も全部合わせて、自閉スペクトラム症。スペクトラムというのは「連続体」という意味です。

どこかの箱に当てはめるのではなくて、連続体の中の一つとして「この子にはこういう特性がある」と見る。そういう見方に変わったのが2013年です。

目で見てわかるラインがあるわけじゃないから、自閉症です、アスペルガー症候群です、というのはわかりづらいよね。それが現実だった、というところです。

今の診断書には、どう書かれているのか

これは書くか書かないか迷ったんですけど、一応書いておこうと思います。

今、お子さんが病院で診断を受けると、診断書には自閉スペクトラム症とか、注意欠如多動症とか、限局性学習症とか、そういうふうに書かれていると思います。

その後ろに、今までアスペルガーや高機能自閉症と書かれていた代わりに、「知的障害を伴わず」「言語の障害を伴わない」と表されることもあります。

名前が消えたというよりは、情報の書き方が変わった、という感じですね。

ただ、これは僕の印象の話なんですけど、そこの部分を書いていないお医者さんも結構多いなと思います。

特に幼児期に関しては、まだ明確じゃないし、子供の成長段階だから、というのもあって、書かないお医者さんの方が多いなと。

書かれていないと「うちの子はどうなんだろう」と不安になると思うんですけど、そこの細かい部分はお医者さんに聞いていただくのが一番良いのかなと思います。

古い診断名のままでも、支援は受けられる

ここからは、古い診断名のままだとどうなるのか、という話です。

まず、古い診断名だからといって、今まで受けられていたサービスが受けられなくなることは全くありません。

精神障害者保健福祉手帳

国の判定基準には「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害」と、旧診断名のまま明記されています。

だから、今の障害名でも大丈夫だし、昔の障害名でも大丈夫です。

手帳を申請するときに見られるポイントはどこかというと、名前も大事なんだけど、名前以上に日常生活にどれくらい制限があるのかというところ。

診断名よりも、生活上の困り感、つまり実際にどう暮らせているかという適応の部分が重視される、ということを覚えておいてほしいなと思います。

受給者証

児童発達支援や放課後等デイサービスに通うための証書ですね。

これも要件は病名じゃないんです。療育的な支援が必要な状態か否か、というところで分けられます。

「自閉症またはそれに類するもの」と決められていたりしますので、アスペルガー症候群と診断されたからといって受けられないということは全くありません。ご安心いただければと思います。

療育手帳(ここは勘違いしやすい)

障害者手帳、療育手帳、受給者証。名前がいろいろあって、正直わかりづらいですよね。

療育手帳というのは、知的障害の手帳です。知的な遅れがある場合に交付されます。

なので、もともとアスペルガーや高機能自閉症は、基本的に療育手帳の要件には入りません。

「療育手帳を取れないんですか」と言われたら、名前が変わったから取れなくなったのではなくて、もともと取れなかった、という話でございます。

よくある3つの勘違い

勘違い1:アスペルガーは「軽い自閉症」

アスペルガーって、なんとなく軽い自閉症だと思われていることが結構多いんですけど、そういうわけじゃ全くないです。

知的な遅れと言葉の遅れがないだけであって、自閉的な特性が軽くなっているという意味ではないんですよ。

逆に、知的な能力が高くて言語的にも問題がなくて、でも感覚的な過敏やこだわりが強いと、むしろ対人関係でうまくいかない部分もあったりします。

「グラデーションで言ったら普通に近いでしょ」と思っていると、意外と本人が苦しむことになります。

IQが高いから、言葉が流暢だから困っていない、ということではない。

勘違い2:アスペルガーには才能がある

「この子には特性があるけど、実は才能がめちゃめちゃあるんです」と言われるご家庭もあります。

それも間違ってはいないと思うんだけど、全員が全員、天才だったり優秀だったり、部分的にすごい能力があるというわけじゃないことも結構あります。

アスペルガーと書いてあるから軽い自閉症、ある分野で天才的な能力を発揮する。そう思い込みすぎるのは本当に子供たちのためにならない。

本人たちの等身大を見てあげてほしいなと思っています。

勘違い3:話せていれば困っていない

これは当事者あるあるだし、自閉症の子あるあるなんですけど、「これできる?」と声をかけると「できる」と答える子が結構多いんですよね。

うまく喋るんだけれども、本当はできていない。そんなことも結構あります。

だから、話せていれば困っていないなんてことは全くなくて、結構困っている。

本人とうまく意思疎通をして、信頼関係を築いて、本音を言ってもらうことがすごく大事です。

「上手に話せている」というところだけを見ていると、本人たちも苦しくなるよ、ということだけ覚えておいてほしいなと思います。

まとめ:名前じゃなくて、今の困り事を見る

今日お伝えしたかったのは、アスペルガーと高機能自閉症を分けていたのは幼児期の言葉の遅れだけだった、ということ。

そして、診断名が変わったからといって、受けられる支援が変わるわけじゃない、ということです。

大事なのは名前じゃなくて、今の困り事をよく理解すること。

困り事を見つけた場合には、今だったら本当に気軽に、支援施設や相談支援事業所、学校など、いろんなところに相談していただきたいなと思います。

結局、早めにいろんなことをやってみるのが単純に重要なのかなと、最近は僕も思っています。

大人になった後でも変えられることはあるけれども、小さいうちの方が時間があるし、変えられる可能性が高くなるのは間違いない。

途中途中で定点的にいろんな人に見てもらいながら、本人が本当に困っていないかな、気持ちよく生活できているかな、というところを見てほしいなと思います。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

また次の記事でお会いしましょう。皆様、良きライフを!

ゆう先生
相談支援員・児童発達支援員
富山県富山市で児童発達支援、学習支援、相談支援などを行なっています。またYouTubeやInstagramなどでも療育のアレコレを発信中。
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