【深掘り】発達障害の子どもの支援を徐々に減らすタイミング|プロンプトフェード、過保護・過干渉対策

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    こんにちは、ゆうです。

    今日は「支援を減らしていくタイミングの見極め」についてお話しします。

    キーワードはプロンプトフェードです。

    子どもって可愛いから、ついいろんなことをやってあげたくなっちゃうんですよね。

    でも、子どもはいつか大人になります。

    自立した生活のためには、今やってあげていることを、少しずつ自分一人でできるようにしていく必要があるわけです。

    この記事は、前回の「甘やかしと配慮のちがい」の続きです。まだの方は、先にこちらを読んでいただけると話がつながります。

    前回、配慮には「支援を減らしていく計画」が組み込まれている、という話をしました。

    今日はその技法編。実際に僕が療育施設でやっているやり方なので、保護者の方はもちろん、支援者の方にも参考になる内容かなと思います。

    目次

    プロンプトとは?手助けには「強さの段階」があります

    まず、プロンプトという言葉、聞いたことありますか?

    プロンプトというのは「手助け」のことです。ヒント、とも言いますね。

    子どもができないことがあったときに手を貸してあげる行動、ぜんぶです。

    声かけもそうだし、実際にやってあげることもそう。絵カードを見せるのも、もしかしたら褒めることだってプロンプトかなと思います。

    で、このプロンプトが上手であればあるほど、子どもは成長しやすい。

    逆に大人のプロンプトがうまくない状態だと、子どもの成長がゆっくりになる可能性があります。

    そして今日の本題が、手助けをした段階から徐々に手を引いていくプロンプトフェードです。

    なぜこれを最初に頭に入れておくかというと、「この手助け、いつまでやればいいんだろう」ではダメだからです。

    プロンプトを始める前に、必ず終わりを見据えておく。

    これがないと、お父さんお母さんがその子の手助けをずっとし続けることになってしまいます。ゴール設定が大事なんですよね。

    原則:正しい行動が出る範囲で、いちばん弱い支援を

    プロンプトには効果的なやり方があります。

    正しい行動が出る範囲で、最も弱い支援を行う。これがプロンプトの原則です。

    たとえば、本当はお箸を使って食べられるのに、心配だからと介助箸を使い続ける。

    必要だったら使えばいいんです。でも、必要がなくなってきているのに使い続けるのは「強すぎる支援」になります。

    ゴールは「お箸でご飯を食べる」ですよね。だったら、その瞬間に必要ないちばん弱い支援を選ぶ。

    心配だから全部やってあげる、というお父さんお母さん、実は多いんです。

    でもそれは、業界的な目線で見ると過保護や過干渉に近い関わりで、発達障害の子どもたちとは意外と相性が良くありません。

    「座る」なら、最初は体を支えるところから。次に肩に手を置く、次は指一本、うなずき、指示だけ。

    こうやって徐々に徐々にフェードアウトしていく。弱めれば弱めるほど、本人のできることが増えているということなんです。

    減らし方は2つ:強→弱と、弱→強

    減らし方には2つの型があります。

    1つ目は、強い支援から始めて徐々に弱める型。失敗をほぼ経験させないやり方です。

    失敗に弱い子っていますよね。何か失敗しちゃうと「もうダメだ」って思っちゃう子。

    そういう子にはフルサポートから入って、少しずつ弱めていく。会話なら、最初は褒め言葉を中心にして、徐々にそれ以外の言葉も使っていくイメージでしょうか。

    2つ目は、まず自我に任せて、必要な分だけ支援を足す型。スキルが芽生えてきた子に向きます。

    「僕はできる!」って、自分でやりたがる子いますよね。

    そういう子は一回試しにやらせてみて、足りない部分だけ支えてあげると成長が早いかなと思います。

    どちらの型が合うか分からない場合は、専門家に聞いてみるのが大事かなと思います。

    「待つ」も技術です

    そしてプロンプトの基礎の基礎が、これです。

    待つことも、技術の一つです。

    この「待つ」がね、支援を始めたばかりの先生もなかなかできないし、保護者の方もなかなかできない。

    でも待てるようになると、子どもの状況をすぐ解決しようとしなくなるんです。相手の様子を見て「ここだ」という場面で手助けができるようになる。

    子どもの側も、自分でやる部分と助けてもらう部分を分けやすくなります。

    僕自身、これは自分の長所だと思っているんですけど、他の先生よりかなり待つ方です。

    パッと解決しなきゃいけない場面ではパッと動く。でもそれ以外の場面では、じっと観察している時間が長い。

    大人の側に余裕があった方が、子どもの支援はうまくいきます。

    泣き始めた子にすぐ「大丈夫大丈夫」と行きすぎちゃう、癇癪をどうにか収めようとしすぎちゃう。そうなりがちな方こそ、「ちょっと待つ」を意識してみてください。

    減らしてよいサイン:8割×3回・反応の速さ・どこでもできる

    さて、ここからが実践編。「どうなったら減らしていいのか」です。

    まず数字の目安から。8割の成功を3回連続です。

    アメリカの療育実務では「プロンプトなしの正解が8割を3セッション連続、複数の支援者で確認」が、できるようになったサインと言われています。

    ポイントは「複数の支援者で」の部分。自分の目の前だけでできてもダメなんですね。家でも、学校でも、他の場所でも。

    ただ、数字はあくまで目安です。数字と同じくらい僕が意識しているのは、反応の速さです。

    声をかけたとき、最初は反応が薄かった子がだんだん速くなってきた。指示が届くようになってきた。

    それは本人の理解が進んで、脳の神経回路がうまくつながってきた証拠かなと僕は思っています。そうなってきたら、次のステージに進んでいい。

    そしてもう一つが般化(はんか)です。

    たとえば靴ひもを結べる。でも、なぜか家ではできるのに幼稚園ではできない。だとしたら「なんで幼稚園ではできないのかな」を考えることが重要です。

    家でも挨拶できて、幼稚園でも挨拶できる。どこでも同じ行動ができていれば、般化している状態です。

    場所・人・物を変えてもできるようになって、初めて「本当にできる」です。

    そこまで確認できたら、支援を一段減らしてみましょう。

    で、減らしてみてうまくいかなくなっちゃった場合。ぜんぜんあります。

    一段戻るのは、失敗ではありません。

    ちょっと戻って、安定したらまた進む。行きつ戻りつを繰り返しながら、ちょっとずつ成長させる目線を持つことがすごく重要です。

    支援の量が大事なんじゃなくて、子どもの今の状況に合わせて支援の内容を決めていく。数字よりも、目の前の子の適応の姿を見る、ということですね。

    早すぎる撤退と、遅すぎる撤退

    行ったり来たりしていい。ただ、行きすぎ・行かなすぎには、それぞれ副作用があります。

    まず早すぎる場合。今までいっぱい手助けしていたのに急に抜くと、間違いが増えます。

    特にASD傾向のある子は、間違いに過度に反応しちゃったりするんですよね。苛立ちから行動が崩れて、結局は支援のやり直しになることもあります。

    失敗の積み重ねは、二次障害の入り口になりやすい。

    それを避けるためのプロンプトです。失敗の全部が悪いとは言いませんが、受け止められる心の状態にないときは、大人がサポートしてあげないといけません。

    プロンプトは何のためにやるのか。最終的に成功体験を増やすためなんですよ。焦って大きく戻る結果になったら、もったいないですよね。

    次に遅すぎる場合。こちらはプロンプト依存という状態になります。

    助けがあるときだけ動く。お父さんお母さんが「宿題やりな」と言って初めて動けて、声がかからないと動けない。

    これ、親が頑張れているうちは成立するんです。でも、親が疲れて頑張れなくなったときに成立しなくなる、典型的なパターンです。

    子どもの自立心を奪ってしまうだけじゃなく、お父さんお母さん自身も潰れてしまいかねません。

    早すぎるのも遅すぎるのも、違う言い方をすると、大人の側がちょっと依存的になっている状態なんだと思うんです。

    「成長させなきゃ」「やってあげなきゃ」に固まってしまっている。

    これを防ぐのが、最初に言ったゴール設定です。「この段階でこれだけできたら一歩進む、できなかったら一歩戻る」を先に決めておく。

    過ぎたるは及ばざるがごとし。手を出しすぎてもダメだし、抜きすぎてもダメ。ちょうどいいところで、一緒に伴走していきましょう。

    家庭でどう減らすか:声かけ・視覚支援・ご褒美・先回り

    最後に、家庭での具体的な減らし方です。

    まず声かけ。「支度したの?」「ご飯だよ」って、心配だからいろいろ言いますよね。なくす必要はありません。

    ただ、道筋は覚えておいてください。「〇〇しようね」の指示から入って、次は「今、何する時間かな?」のヒントへ。最終的には見守りだけ。

    本人が自分で行動を思い出せるようにしていくわけです。

    このとき、頭の中の情報だけだと思い出せない可能性があるので、視覚支援グッズを用意しておく。声が全くなくなっても、予定表があればそれを見て自分でできる可能性が高いからです。

    じゃあその視覚支援は、いつか外すのか。

    視覚支援は、卒業させるより発展させる方がいい。

    絵カードやスケジュールをずっと壁に貼っておく必要はないけれど、メモ帳を持たせて忘れ物しない工夫をするとか、形を変えて残していく。

    困ったときにそれを見ればなんとかなる、という「自分だけの手帳」が作れると一番いいのかなと思っております。

    それからご褒美。専門用語で強化子と言うんですけど、シールが貼れるから頑張る、みたいなやつですね。

    これも、ずっと同じだと「ご褒美がなくなったら頑張らない」になっちゃうし、お父さんお母さんも疲弊します。

    目で見て分かるご褒美から入って、体験に移して、最後は褒め言葉へ。徐々に形を変えていけると一番いいかなと思います。

    最後に先回り。朝は時間がないから、つい先回りしたくなりますよね。

    手伝うこと自体は悪くありません。ただ、お母さんは「今は手を出さない方がいい」と思っているのに、お父さんが先回りしちゃう。そういうすれ違い、結構あると思うんです。

    子どもが自分で頑張っているときに大人がやってあげてしまうと、過干渉に近くなってしまう。

    どこまで手伝うかを、ぜひ保護者同士で揃えてください。頑張っているときは見守って、できたら「できたね!」を強調する。「次も頑張ろう」につながるように促していくのが大事かなと思います。

    まとめ:行きつ戻りつで、ちょっとずつ

    支援を減らす見極めを、順番にまとめます。

    今の支援の強さを知る。8割の安定と、支援の前に動き出す姿を確認する。場所や人を変えても、できるかを確かめる。それができたら一段だけ減らす。崩れたら一段戻る。

    これを繰り返しながら、自分でできることをちょっとずつ増やしていく。それがフェードアウトです。

    そして何より、お父さんお母さんが頑張りすぎないこと。終わりを見据えた支援は、子どものためであると同時に、支える側のためのものでもあります。

    最後まで読んでくださってありがとうございます。

    また次の記事でお会いしましょう。皆様よき療育ライフを。

    ゆう先生
    相談支援員・児童発達支援員
    富山県富山市で児童発達支援、学習支援、相談支援などを行なっています。またYouTubeやInstagramなどでも療育のアレコレを発信中。
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