こんにちは、ゆうです。
今日は「支援者の心構え」というテーマで、療育で大切にしたい3つのことについてお話していきたいと思います。
実はこの内容、僕がこの発達講座を始めた一番最初のころに出していた、いわば僕の原点とも言える話なんですよね。
今は一度なくなってしまった動画なんですけど、改めて今日お伝えできればなと思っています。

先にお伝えしておくと、ここで言う「支援者」というのは療育の先生だけを指しているわけではありません。今これを読んでくださっている保護者の方、支援者の方、そして当事者の方、その全員を僕は「支援者」と呼びたいなと思っています。
当事者の方も、自分自身のことを客観的にどうサポートしていこうか、という目線はすごく大事だからですね。
結論を先に言うと、大事な心構えは①決めつけないこと、②学び続けること、③現実を受け入れ、今できることに集中すること。
この3つです。ただ、その前提として「そもそも療育とは何か」というところから、ゆっくりお話ししていきますね。
まず大前提、療育は簡単じゃない
何よりも僕が声を大にして言いたいのが、療育は簡単じゃないということです。これは一言で言い換えるなら「子育ては簡単じゃない」でもいいし、「人間の成長は簡単じゃない」と置き換えてもいいのかなと思います。
人が成長していく過程って、そんなにストレートに右肩上がりでいくわけじゃないんですよね。波みたいに、上がって下がって、上がって下がって、でもちょっとずつ全体としては上がっていく。
そんなイメージかなと思います。僕自身、うまくいったなという日もあれば、全然ダメだったなという日もしょっちゅうあります。
それがまさに、簡単じゃないことを表しているんじゃないかなと思うんですよ。
特に発達障害は「脳の機能障害」と言われていますが、その脳機能自体がまだ完全には解明されていません。
つまり原因も、確実に有効な支援方法も、まだはっきりとは分かっていないんですね。分からないことを手探りで答えを見つけていくわけですから、簡単なはずがないんですよ。
まずはそのことを、心の中にそっとインストールしておいてほしいなと思います。
だからこそ、うまくいかないのが当たり前です。結果がすぐに見えないのも当然。保護者の方も、当事者の方も、本当に毎日お疲れさまですと言いたくなります。
うまくいかない中で頑張っているというその一点だけで、僕は心から「すごいことだ」と思っています。
簡単じゃない、だからこそどうするのか。
まずはここを考えていくのが、すごく大事なのかなと思うんですよね。
そもそも「療育」って何だろう
ここで一度、療育とは何かを整理しておきますね。世の中で完全に文言が統一されているわけではないんですけど、僕は「医療的な側面と教育的な側面を合わせ持つ、子どもの発達を支える活動」と捉えていいのかなと思っています。
ここが結構大事なポイントで、教育的な側面「だけ」でやってしまうと、うまくいかないことが多いんですよ。
たとえば学校の先生が発達に特性のあるお子さんに、努力や気合いだけでどうにかしようとする。もちろん努力でなんとかなる場面もあるんですけど、そうじゃない場面もあるわけですね。
もともと持っている脳機能的な背景を知らないまま「頑張ればできる」で押し切ってしまうと、「なんでできないんだ、もっと頑張れ」となって、かえって成長の機会を逃してしまいやすいんです。
逆に、医療的な側面だけに寄りすぎて「発達障害だからうちの子はもう無理だ、諦めよう」となってしまうのも違います。
この両側面が、車の両輪のように回っている。そんなイメージを持っておくのがすごく大事かなと思います。
だから療育は、病院で治すものでもなければ、勉強だけを教えるものでもありません。その子が少しずつ成長していく歩みに寄り添って、生活の中でできることを一つずつ増やしていく。その積み重ねそのものが療育なんですね。
ときどき療育を「受ければ子どもが良くなる魔法」のように捉えてしまう方がいるんですけど、そうではなくて、本当に地道な一歩ずつ。特別な魔法の技術ではないんだ、というところは覚えておいてほしいなと思います。
正解のマニュアルは、存在しない
療育の大きな特徴として、「これをすれば必ずうまくいく」という正解のマニュアルがないということが挙げられます。今は本屋さんに行けば発達支援の本がたくさん並んでいますし、情報も溢れています。
でも、それが全部そのままうまくいくかというと、そういうわけじゃ全くないんですよね。
相談支援の先生や病院の先生が「こうやったらいいんじゃない」と言ってくれたとしても、その通りにやって必ずうまくいくとは限りません。
だから一番大事なのは、うまくいくか分からないけど、試しにやってみること。よさそうなら続ける、ダメそうならやり方を変えたり様子を見たりする。この繰り返しがすごく重要なんですよ。
施設の先生あるあるなんですけど、ある子にうまくいったやり方を、別の子にやってみたら全然効かない、なんてことは本当によくあります。
診断名としては同じ「自閉スペクトラム症」「注意欠如多動症」と書いてあっても、その中身は一人ひとり全然違うんですよね。自閉傾向があると言われていてもめちゃくちゃ活発に動き回る子もいますし、多動傾向だと思ったら独特のこだわりを強く持っている子もいます。
だから、特性の名前で見るのではなく、その子の「今の現状」を見る。この子に合ったやり方は何だろう、と試して、試して、試していく。すぐに結果が出ないことのほうが多いですし、そうなると保護者の方は心を病みやすくなってしまいます。
でも覚えておいてほしいのは、それは失敗じゃないということ。今のやり方の、もっと前の段階でつまずいているだけかもしれない。
うまくいかないのは、成功するための道の途中なんですよ。だからこそ、一人ひとりに合わせた個別支援計画を立てていくわけですね。
療育の本質は「技術」より「姿勢」
ここまで読んで、なんとなく勘づいた方もいるかもしれません。実は療育の本質って、技術的な側面よりも「姿勢」的な側面のほうが大きいんじゃないかなと僕は思っています。
もちろん技術も大事です。正直に言えば、新人の先生とベテランの先生では、ベテランの先生のほうが上手なのは間違いありません。
でも、それを超えてくるのが「どうやってこの子を支援しようか」という姿勢なんですよ。
思い込みで「これができるはずだ」「これはできないはずだ」と決めてかかると、子どもや保護者を傷つけてしまうことがすごく多いんですね。
だから、まずは現状を受け止めること。これがスタートです。状況や感情をよく観察して、その子や保護者と協力しながら、より良い人生を一緒に探していく。
できないことを嘆きたくなる日もあると思うんですけど、それでもできる目の前のことを、一つずつ積み重ねていく。1年、2年と結果が出ない時期もあります。
でもある時、途端に伸びることもある。この「一つずつ積み重ねる」というところが、本質なんじゃないかなと思っています。
療育を受ける3つのメリット
心構えの話に入る前に、そもそも療育の何がいいのか、3つの視点でお話ししておきますね。
①子どもにとってのメリット
適切なサポートと学びが積み重なれば、できなかったことが少しずつできるようになる。これが一番のメリットです。
人は集団の中で自分の立ち位置を気にする生き物で、それはコミュニケーションが苦手と言われる子だって同じなんですよね。
特に高学年くらいになると「周りと比べて自分はできない」と思い込んでしまうこともあります。
そこを本人に合ったサポートで支えていくことで、うつや適応障害といった二次障害の予防にもつながりやすい。前向きに生きるための土台が育ちやすくなるんです。
②支援者・保護者・当事者にとってのメリット
療育を通じて学んでいくと、行動の背景が分かるようになる。すると今まで「困った子」だと思っていたのが、「困っている子」に見え方が変わってくるんですよ。
これは氷山の一角と同じで、目に見える行動の下には、本人なりの理由が隠れている。それが見えると、こちらの関わり方も自然と変わってきます。
当事者の方なら「自分はなんでこうしちゃうんだろう」の答えが見えて、一人で抱え込んで悩む回数がどんどん減っていくんですね。
③関係性そのものへのメリット
療育が始まる前は、大人と子どもがぶつかることのほうが多かったりします。でも知識を得ていくことで、その衝突が少しずつ減っていって、大人と子どもの関係そのものが変わっていく。
子どもの成長とともにまた新しい衝突が出てくることもありますが、その都度学んでいけばいいんですよね。基本的に僕は、療育は受けたほうがいいと思っています。
特に、一人でやるのが辛くなったり苦しくなったりしている方こそ、療育につながってほしいなと思います。
【心構え①】決めつけないこと
さて、ここからが今日の本題です。僕が支援の中で本当に大事だと思っている心構えの1つ目は、決めつけないこと。これは本当に重要だと思っています。
「こうだろう」と決めつけてしまうと、その後の行動から柔軟性が失われてしまうんですよね。
結果として大人も子どもも悩んでしまう。今やっていることが正解かどうかは、そもそも分からないんです。
分からないからこそ、「こうかもしれない」と予測は立てても、「絶対こうだ」と思い込みすぎないほうがいいんですよ。
世の中には「この特性にはこの支援」というマニュアル的な情報が溢れていて、そのほうが覚えやすいし、やりやすい。でもそれはあくまでツールであって、目的じゃないんですね。
大事なのは、その支援をやることで本人がどうなってほしいのか。
合うかどうかを試しながら、合っていれば採用する。採用したあとも、ときどきチェックする。「この特性があるからこれは無理」と早々に決めつけてしまうと、将来伸びるはずの芽を大人が摘んでしまう危険性があります。
特性を、決めつけの根拠にしないことが大切です。
そして決めつけないために意識したいのが、3歩後ろから観察するということ。すぐに手を出したり結論を出したりせず、少し距離を置いてその子をよく見る。
何につまずいているのか、何が好きなのか、どんな時に落ち着くのか。何か問題が起きた時も、「なんでこうなっているのかな」という疑問からスタートすると、大体うまくいくことが多いんですよ。
もちろん、噛みついたり人を叩いたりしそうな場面はすぐ止める必要がありますけど、多くの場面では、まず俯瞰して見てみる。この観察するという癖を、ぜひ皆さんにつけてほしいなと思います。
ちなみに、観察して気づいたことをメモしておくのは本当に大事です。これから先の時代なら、そのメモをAIに読み込ませてみると、中核的な問題が見えてくる可能性もあります。
「もしかしたらこうかもしれない」を決めつけずに、まずは書いておきましょう。
【心構え②】学び続けること
2つ目は、学び続けることです。観察ができるようになると、次は必ず「アクション」が重要になってきます。発達障害と一口に言っても千差万別で、支援の方法もいろいろあります。
だからこそ、いろんな方法を調べて、実際に試してみる。この引き出しが増えれば増えるほど、子どものイレギュラーな行動にも対応しやすくなるんですよ。
正直に言うと、勉強している先生と、していない先生では、明確に差が出ます。特に発達支援の分野は顕著だなと感じます。
「発達障害だから」「自閉症だから」で止まってしまう人と、「この子には今こういう問題があるから、じゃあこれを試してみよう、あれを試してみよう」と動ける人とでは、本当に差が出るんですよね。これは親御さんも同じです。
そして大事なのは、ただ学ぶだけじゃなくて、日々実践に移す=アウトプットすること。いきなり子どもに試すのが不安なら、まず身近な人に試してみたり、人に相談してみたりでもいいと思います。
学びの引き出しが多ければ多いほど、想定外の行動にこそ、その学びが生きてくるんですよ。感情の波が大きくなった時に、それをすっと戻せるかどうか、前向きな気持ちに変換できるかどうか。
ネガティブな気持ちが悪いわけじゃないんですけど、それをリフレーミングで捉え直せる引き出しがあると、対応の幅が大きく広がります。
たくさん学んで、たくさん実践して、その中で一番いい方法をこの状況で選ぶ。これがすごく大事だなと思います。
【心構え③】現実を受け入れ、今できることに集中する
そして3つ目、最後の心構えは、現実を受け入れ、今できることに集中することです。実はここ、昔は違うことを書いていたんですけど、最近の僕が一番大事だと思うようになった部分なんですよね。
正直に自分の話をすると、僕は「どうにか成長させたい」という気持ちがすごく強いタイプで、本当にいろんなことを試しまくってきました。
その中には成功もあれば、失敗も本当にたくさんありました。「なんでできないんだろう」「もう嫌だな」と思うことも正直ありました。現実を受け入れたくなくて、戦っていた時期もあるんです。
でも今思うのは、できないこともあるんだということを覚えておくのがすごく大事だということ。
「絶対にできる」はないし、できるタイミングをこちらで操作することもできません。明日できてほしいことが、10年後にできる可能性だってあるわけですよね。
そうなると、ゴール地点が見えなくて辛くなることもある。でも、それはもうしょうがないんだと思うんです。精神科医の増田先生も「ある意味しょうがない」という言葉を使われていると思うんですけど、それに近くて、できないことはできない。だからこそ、できるために今日どうするか、そっちに集中していく。
スモールステップでできるところに近づけていったり、その能力が今は必要なさそうなら、環境設定をガラッと変えて見えないようにしたり。
自分がコントロールできるものだけに力を注ぐんです。子どもの成長のタイミングも、感情が上がり下がりするタイミングも、こちらではコントロールできません。
だったら、自分ができること・対応できる課題・学べることは何か。そこに目を向けていく。そう考え始めてから、僕自身も明らかに心が軽くなったなと感じています。
そして、積み重ねの先に成長がある。今日できることを一つずつ積み重ねた先に、必ず子どもの成長はあります。すぐに変化が見えなくても、日々の関わりは決して無駄になりません。
その瞬間には使わなかったことが、あとになって「あれがあったから今ができる」につながることが、本当にたくさんあるんですよ。
だから、ちょっとしたことを続けていく。それがすごく重要かなと思っています。

まとめ:3つの心構えで、子どもと一緒に成長する
今日は「支援者の心構え」として、療育で大切な3つのことをお話ししてきました。改めてまとめると、次の3つです。
- 決めつけないこと — 特性の名前ではなく、その子の「今」を3歩後ろから観察する
- 学び続けること — 引き出しを増やし、必ず実践(アウトプット)に移す
- 現実を受け入れ、今できることに集中すること — コントロールできることに力を注ぐ
うまくいかない日は、本当にたくさんあると思います。でも、うまくいかないからダメなんじゃなくて、うまくいかないなら、次はうまくいく方法を考えていけばいい。
これもリフレーミングですね。
正解の選択肢は無限にあるわけじゃなくて、ある程度限られています。だから正解が見つかるまで、一つずつ試していけばいいんですよ。
うまくいった方法は、何回も繰り返してください。
そうやって子どもが成長すると、また次のステージが来て、また探すところから始まる。
それを繰り返しながら、僕らも子どもと一緒に成長していくんだと思います。
大人が引っ張っていくというより、僕ら自身も学びながら、子どもにちょうどいい「合いの手」をそっと差し伸べられるように成長していく。
もし今、一人で抱えて辛くなっている方がいたら、どうか自分を責めないでくださいね。ちょっとずつで大丈夫です。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
また次の記事でお会いしましょう。皆様、よき療育ライフを。

