発達支援

言語発達遅滞の子どもの特徴を解説|子供の発達障害解説

yuu

こんにちは!ゆう先生です。

今回は「言語発達遅滞」についてお話しします。「同じ年の子と比べると、うちの子は言葉が少ないような気がする…」「声掛けをもっとしたほうがいいのかな?」と不安に思う親御さんも多いですよね。

でも大丈夫。言葉が出るタイミングや成長のペースは一人ひとり違いますし、適切なサポートを受ければ、ゆっくりでも確実にお子さんの言葉は伸びていきます。

言語発達遅滞とは、年齢相応のペースよりも言葉の発達が明らかに遅れている状態を指します。

たとえば、2歳頃にいくつかの単語を話し始めるのが一般的ですが、それが3歳を過ぎてもあまり増えない、会話がうまく成立しないなど、言葉を使ったコミュニケーションに課題が見られることがあります。

ただし、この遅れにはさまざまな理由があり、一時的なものや別の発達障害・聴覚の問題などが関係している場合もあります。

大切なのは、ほかの子と比べるのではなく、「この子にとってどんなサポートが必要か」を考え、安心できる環境をつくってあげることです。

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言語発達遅滞の4つの主な特徴

(1)言葉の理解がゆっくり

「持ってきて」と頼んでも意味がうまく伝わらなかったり、「帽子を取って、それから靴をはいてね」というような二段階以上の指示が難しかったりします。

このように、相手の言葉を理解する力(受容言語)の発達がゆっくりなので、一度にたくさんの情報を伝えると混乱しがちです。

そのため、話しかけるときは

ママ
ママ

ここに靴があるよ!

ママ
ママ

帽子をちょうだい!

のように、短くシンプルな言葉で伝えるとわかりやすくなります。

一度に複数の動作を指示するのではなく、一つずつ区切って話すことが大切です。

(2)話す力(表出言語)が遅れている

2歳を過ぎても単語があまり出てこない、3歳になっても二語文や三語文が少ないといった形で、話す力の面でも遅れが見られます。

言葉で表現しきれない分、指差しや引っ張る動作で意思を伝えようとすることが多いかもしれません。

こうした特性があるため、親御さんはお子さんが指差したタイミングに合わせて

ママ
ママ

そうだね、りんごが欲しいんだね

ママ
ママ

ワンワンがいるね

と、シンプルな言葉を添えてあげましょう。

声掛けをくり返すうちに、お子さんは「これがりんごって言うんだ」「わんわんって言葉を使うと伝わるんだ」と少しずつ学んでいきます。

(3)発音が不明瞭

お子さんによっては言葉が出始めても発音があいまいで、大人が聞き取りにくい場合があります。

たとえば「たまご」を「だまご」と言ったり、「りんご」を「いんご」と言ったりすることがあるかもしれません。

間違えた発音をすぐに直そうとせず、親御さんが「そうだね、たまごだね」と自然に正しい発音のお手本を聞かせることがポイントです。

「なんで違うの?」と責めたり、恥ずかしい思いをさせたりしないように、お子さんの気持ちを大切にしながら練習をサポートしていきましょう。

(4)コミュニケーション全体が苦手

言葉の遅れにより、ほかの子と遊んでいても会話が続きにくかったり、意思疎通がスムーズにいかなかったりします。

そのため、お子さん本人も困惑しやすく、イライラして泣いてしまうこともあるでしょう。

このような特性があるため、言葉以外のコミュニケーション手段(ジェスチャーや絵カードなど)を使って「伝わった!」という成功体験を増やしてあげることが大切です。

親御さんがお子さんの行動を代弁してあげたり、「これ欲しいのかな?」と声に出して確認してあげたりするだけでも、お子さんの安心感はずっと高まります。

家庭でできる、おすすめの支援3選

(1)ゆっくり、繰り返し話しかける

日常のあらゆる場面で、お子さんが興味を持ちそうなものや行動に合わせて

ママ
ママ

このワンワン、かわいいね

ママ
ママ

バナナ食べようか

といった短い声掛けをくり返すことで、言葉のインプットを増やします。

例えば、買い物中に野菜コーナーへ行ったときに

ママ
ママ

これはトマトだよ、赤いね!

Aくん
Aくん

(これがトマトって言うんだ)

このように「これはトマトだよ、赤いね」と話すと、お子さんは「これがトマトって言うんだ」と少しずつ覚えていきます。

(2)ジェスチャーや視覚的な情報を活用

「持ってきて」と言ってもすぐに意味が伝わらないときには、指差しや身振り手振りを大きめにして教えると効果的です。

たとえば、おもちゃを指差しながら「ボール、ちょうだい」と言うと、言葉と動作がセットになるのでお子さんの理解が進みやすくなります。

また、絵カードや写真を使うのもおすすめです。カードを見せながら「これはりんご」というように視覚で訴えると、言葉とイメージを結びつけやすくなります。

(3)遊びやごっこ遊びの中で言葉を練習

おままごとやお店屋さんごっこ、ブロック遊びなど、お子さんが楽しめる遊びのなかで自然に言葉を使う機会をつくってみましょう。

たとえば、おままごとセットで

ママ
ママ

ジュースちょうだい!

ママ
ママ

ごはん食べようね!

など簡単なやり取りをしてみると、「ああ、こうやって言葉を使うのか」とお子さん自身も体感的に覚えていくことができます。

まとめ

言語発達遅滞は「親のせい」でも「お子さんの努力不足」でもなく、成長のペースや環境、体の構造や他の発達特性など、いろいろな要因が組み合わさって起こります。

大切なのは、焦って「もっとしゃべって!」と追い詰めるのではなく、お子さんが安心して言葉を吸収できる日常をつくることです。

シンプルな言葉でゆっくり話しかけたり、指差しやジェスチャーを交えて伝えたりと、小さな工夫を重ねていくうちに、「あ、伝わった!」という瞬間がきっと増えていきます。

その成功体験こそが、お子さんに「話してみたい」「伝えたい」という意欲を与えてくれるのです。

お子さんが自分の言葉で世界を広げていくために、今できるサポートを少しずつ取り入れていきましょう。

一歩ずつ、ゆっくりでも確実に言葉の力は伸びていきます。

親御さんも専門家や支援機関を上手に利用しながら、お子さんの成長を一緒に見守っていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ABOUT ME
ゆう|Yuu
ゆう|Yuu
子どもの発達の専門家
現役児童指導員。一般社団法人dil理事。年間300回以上、通算2000回以上の療育。児童発達の専門家。富山県内の療育施設で主に児童・幼児の療育を行っています。
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