【比較】癇癪とパニックは、対応が真逆について|発達障害、知的障害、自閉症の子どもの対応

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こんにちは、ゆうです。

今日は「癇癪とパニックは対応が真逆です」というテーマでお話ししていきたいと思います。

泣き叫ぶ、物を投げる、床に転がる、自分を叩いてしまう。パッと見はどれも似ていますよね。

癇癪とパニックって、言葉のニュアンスとしても同じように捉えている方が結構いるんじゃないかなと思います。

でも実はこれ、ちゃんと分けた方がよくて、見た目は同じでも内側で動いている中身が違うんですよ。

中身が違うのに同じ対応をしてしまうと、癇癪がよりひどくなったり、パニックがよりひどくなって二次障害的になったりすることがあります。

結論を先に言うと、癇癪は「目的のある行動」で、パニックは「脳の処理が限界を超えた状態」です。今日はそこを解説していく回になります。

目次

癇癪は「目的のある行動」、パニックは「脳がボカンとなった状態」

それぞれの対応の前に、まず何が違うのかを理解しておくことが僕はすごく大事だなと思っています。

癇癪は不器用なコミュニケーション手段

癇癪というのは、僕は要求を満たすための、目的のある行動だと捉えています。

お菓子を買ってほしい。遊びを続けたい。注目してほしい。

言葉でうまく伝えられない子が選んだ、不器用なコミュニケーション手段なんですよ。

僕がいつも言っている「問題行動はSOS」という考え方で言えば、癇癪は氷山の一角として出てきた「伝えたいのに伝えられない」というSOSですね。

だから癇癪は、要求が通ると1〜2分でケロッと収まることが多いです。というか、その瞬間に収まることの方が多いかもしれません。

相手や状況によって声の大きさや反応が変わるのも特徴です。

お母さんの前では「買って買って」と言うのに、お父さんがスッと現れたらピタッと止まる、みたいなことって結構ありますよね。

周りの様子を見る余裕が残っている。これが癇癪です。

パニックは処理が追いつかない「メルトダウン」

対するパニックは、これがちょっと全然違います。

脳の処理がもう追いつかなくなって、ボカーンとなってしまった状態です。別の言葉で「メルトダウン」なんて言い方もします。

音や光などの刺激、ちょっとした予定の変更、疲れ。こういうものが積み重なって、脳が処理できる限界を超えた時に起こる反応です。

火山噴火のイメージですね。山が揺れてゴゴゴゴゴとなって、ドッカーンといく感じです。

パソコンで言えば、フリーズしている状態です。そこにいくら指示を入力しても反応しませんよね。

なので、最初のきっかけになった要求があったとしても、それを叶えてあげてもすぐには止まらないし、本人も止められないんですよ。

当事者の方の言葉で「自分の操縦席に自分がいない」と表現されている方がいて、これは興味深いなと思いました。まさに自分が自分じゃなくなる状態です。

要求を満たしても止まらないし、エネルギーが尽きるまで続くことがあります。

これは何なのかと言うと、命を守るモードに入った状態だと思ってほしいです。特に幼児期だと、「これは緊急事態です」という脳の信号なんですよね。

だから癇癪はこちらの促しで変えられるかもしれないけど、パニックが起きてしまった時は、一通り出し終わらないとうまくいかないことも多いです。

見分けるための3つのテスト

じゃあどうやって見分けるのか。特に癇癪の見分け方の方が大事です。

パニックはね、正直言うと「収まらなかったらパニック」と思っていいです。癇癪の方は結構わかりやすくて、3つのテストをやってみてほしいなと思います。

①観衆テスト:見ている人を必要とするか

これがすごく大事なところで、癇癪は見ている人を必要とします。パニックは必要としません。

パニックは人がいようがいまいが泣き続けたり暴れ続けたりします。

でも癇癪は、訴えたい相手がいなくなるとピタッと止まります。ピタッとじゃないかもしれないけどね。

大人の反応をうかがったり、声の大きさを調整したりもします。

例えば、急に電話がかかってきてお母さんが「ちょっとごめんね」と電話に出たとしますよね。

その間は収まっていて、電話を切ったらまたワーッと泣く。こういう場合は癇癪かなと思います。

状況がある程度頭に入っていて、怒りや悲しみの感情を使って物や状況を得ようとする。それが癇癪です。

逆に、電話に出ようとしている最中でも泣き止まず、誰も見ていなくてもずっとギャーッとなっている状態はパニックかなと思います。

②譲歩テスト:要求を飲んですぐ収まるか

要求を飲んですぐ収まるんだったら、癇癪の可能性が高いです。

「買って」に対して「いいよ」と言った瞬間にピタッと止まるなら癇癪です。

逆に「買ってあげるよ」と言っているのに「買って買って買って」とずっと言い続けている。頭の中がぐるぐる回っているような状態。これはパニックかなと思います。

だからお父さんお母さんは、まず戦わないで、一度「いいよ」と言ってみてほしいんですね。

それでピタッと収まるなら癇癪的なので、次から対策をしていく必要があるということになります。

③回復テスト:収まった後にケロッとしているか

癇癪は、収まった後に結構ケロッとしているんですよ。すぐ遊び始めたりして、エネルギーが残っている感じです。

でもパニックを起こした子は、正直言うと結構疲れています。お母さんの膝元でぐったりしていることも多いなと思います。

その後に自分を責めてしまったり、ぐるぐる思考が止まらなかったりする場合も、パニック的な要素が強いのかなと思っています。

ABC分析のような形で、「何があって、どんな行動をして、終わった後どうなったか」をちゃんと確認していくのはすごく重要ですね。

観衆・譲歩・回復。この3つで「収まった後の様子」まで見ると、癇癪かパニックかが見えてきます。

癇癪への対応①:ルールを決めたら折れない

さて、ここからは対応です。まず癇癪から。

最初に言っておくと、途中でパニックに移行するパターンもあるので、完璧にやり切ろうとしないでほしいです。

ただ一つ言えるのは、ルールを決めたら折れないということが、癇癪対応の第一番になります。

この一貫性がすごく大事なんですよ。

買ってもらえるかもしれない、もらえないかもしれない。ごねてごねてごねまくったら買ってもらえた経験がある。

そうなると「こうやればうまくいくんだ」になってしまいがちです。

特に発達特性のある子の場合、癇癪への対応は極力同じパターンで同じようにやっていくのが大事です。そうすると本人も落ち着きやすくなります。

毎回対応が変わると子供の方も安定しません。発達支援では特にそうです。

「今日は買わないよ」と一度言ったら、泣き叫んでも守り抜く。一応こう書きましたが、完璧に守ってほしいとは思っていません。

お父さんお母さんの中には「守り抜きます、ビシッ」とやりすぎてしまう人もいるので、そこまでやらなくていいんです。

ただ、ちょっと泣くくらいなら「これはダメです」とちゃんと伝えることは重要かなと思います。

一番良くないのは、周囲の目を気にして途中で妥協するパターンです。

「まとまらなそうだな」と思ったら、すぐに「うん、わかった。じゃあ今日は買うよ」にして、その後でルールを決めればいいんです。

毎回途中まで粘ってから折れると、「激しく泣けば、激しく暴れれば要求が通る」と学習しがちなんですよね。

ルール自体は、事前に落ち着いている時に、理解できる形で分かりやすく伝えておくことが大事です。

特に幼少期は爆発するタイミングが似たり寄ったりなので、そういう場所にあまり近づかないとか、最初から「今日は1個買おうね」と決めた上で出かけるとか。

予告と一貫性のセットですね。これは短期目線じゃなくて、長期目線でめちゃめちゃ重要なので覚えておいてほしいなと思います。

癇癪への対応②:反応しないで、安全だけを守る

これ、僕はすっごくやります。本当によくやります。

保護者さんから「なんで先生はそんな対応をしているんだろう」と疑問に思われることも多いんですが、療育が終わった後に「ああ、こういう風に対応すればいいんですね」と言われることが結構あります。

癇癪の間は、視線も微妙に合わせない。表情も変えない。淡々と過ごす。

視線はふわっと全体像を見ている感じですが、癇癪を起こしている間、僕はもう仏像のようになって淡々と過ごしています。

叱ることも、なだめることも、正直しません。

ポイントは「注目」なんですよ。

子供がギャーッとなった時に「大丈夫だよ」と優しくする。それ自体は大事なことです。泣いたり暴れたりして、お父さんお母さんから愛情を受け取ろうとしている場合もありますから。

ただ、癇癪の最中に注目しすぎると、その注目自体がご褒美になってしまう可能性があるんですね。

だから僕は、ほぼ反応しないと決めています。危なくないかだけ見守って、本人の力で気持ちを整えられないかを観察しています。

「消去バースト」に注意

ここで一つ、すごく大事なことがあります。

この話を聞いて「じゃあ待てばいいんだな」とやり始めると、一時的に前よりも激しくなることがあります。

大人が反応しなくなると、子供の側の気持ちがガーッと上がる時があるんですよ。これを「消去バースト」なんて言い方をします。

反応をやめた直後に、前より大きな声で泣いたりする。ここでお父さんお母さんは「やっぱり違ってたんだ」となりやすい。ここが難しいところです。

でも、これが癇癪であって、なおかつこちらが感情的にならず正しい手順を踏んでいた場合、消去バーストの後は行動が消えることの方が多いんです。

行動が消える直前に、その行動が一度強くなる。この山を越えた後は「これをやっても意味ないんだな」と分かってきます。

早い子だと、ギャーッと言った後、2〜3分でスッと収まってくる時があります。

その時に「収まってきたね」「物が欲しいの?」と聞いて、「うん」と言えたら「言葉で伝えられたね、よくできたね。じゃあ今日は買ってあげよう」とやる。

そうすると「言葉で伝えることが大事なんだな」となっていきます。

幼少期は感情のコントロールが全部できるわけじゃないので、最初から買ってあげるつもり、やってあげるつもりでいいんです。

ただ「泣いて要求を通すのはダメだよ」「正しい伝え方をしたら叶うよ」と伝えていくことが重要かなと思っています。

癇癪対応のゴールは「我慢」ではなく「正しい伝え方」

癇癪対応で一番重要なのは、実は落ち着いている時です。

癇癪対応のゴールは、我慢させることじゃないんですよ。

我慢そのものは僕はすごく重要だと思っています。でも癇癪対応のゴール設定を「我慢」にはしてほしくない。

ゴールは、癇癪で伝えるのではなく、正しい伝え方に置き換わることです。

落ち着いたら、絵カードや言葉やジェスチャーで、伝え方とルールを決めていきます。

  • お出かけの時は1個は買っていいよ、と最初から決めておく
  • 子供がそれで伝えられたら、大げさなくらい褒める
  • そして要求を満たしてあげる

「やってあげない」「買わない」じゃないんです。

僕も結構怖い顔をしている時もありますが、その後で本人がやりたいことはやらせてあげています。用事があってやりたいわけですから、しょうがないじゃないですか。

ただ、その前に正しい行動をした結果として得られるという形にしてあげてほしい。それが正しい成功体験かなと思っています。

叱るというより、毅然とした対応で正しい行動を覚えさせて、褒める。このフローを覚えておいていただければと思います。

パニックへの対応①:前触れに気づいて、気持ちをずらす

さて、反対にパニックの対応です。パニック対応は、物事は結構単純です。

何よりも最初に重要なのが、前触れの段階で気づくことです。

僕は初めての子の療育に入る時、その子が大泣きしたら最初の1回目だけ観察します。「この泣きはパニックなのか」をかなり早い段階で判断するんですね。

パニック的な要素が強い子には、2回目以降はもう今日書いていることをそのままやっています。

パニックになってしまうと変えようがないんですよ。本人も結構苦しい。

癇癪は要求のやり方、コミュニケーションのやり方ですが、パニックはそういうわけじゃないので、なる前に手を打ちます。

前触れのサインはこんな感じです。

  • 咳払いが増える
  • 体がこわばる、爪を噛む
  • 声のトーンが下がる
  • 体を揺らす、ブツブツ言う声が大きくなる
  • 顔がこわばる瞬間

小さなサインですが、見つけた瞬間に気持ちをずらします。

「お手伝いをお願い」と用事を頼んだりしながら、別の行動を取らせます。

その場にいるとパニックになる可能性が高いので、「ちょっと一緒にこっち行こうか」「お散歩しようか」と場所を変える。

僕は特に「物を取ってくる」がいいと思っていて、「クレヨンを一緒に取ってこよう」みたいな形ですね。

自分の子がパニック的な傾向が強いのか、癇癪的な傾向が強いのか。それによって対応を変えていく必要があるのかなと思っています。

パニックへの対応②:爆発したら教えない・叱らない

前触れのサインがあっても、爆発してしまうことはいっぱいあると思います。

一番大事なことは、教えないし、叱らないです。

爆発してしまったら、しつけの時間じゃなくて安全確保。これが一番です。

特に自閉傾向があったり知的な課題があったりする場合、頭を打ちつけたり、物をワーッとやったりして危ないことがあるので、まず安全確保が何よりも重要です。

あとは、本人の気持ちの波が収まってくるのを待つ。

刺激の絶対量を減らす

パニックをよく理解していない場合、言葉で説得しようとしてしまうんですよね。

でも「大丈夫だよ」という言葉も、脳への追加の刺激になっている可能性があります。基本的にはあまり喋らない方がいいかなと思います。

本人がこちらに寄ってくるなら、背中をトントンしてリズムを取ってあげるのは重要です。

照明を落とす、カーテンを閉める、音を消す、人を遠ざける。刺激の絶対量を減らすことがすごく重要です。

結構ありがちなのが、最初からギュッと抱きしめて「大丈夫だよ」とやる方です。

これは子供によっては恐怖体験になりやすいんです。

ある程度落ち着いてきたり、本人が近づいてきたりしない限りは、少し自分で落ち着く時間を設けてもらった方が、今後のためにもなるのかなと思います。

優しく見守る。こちらから声かけを大きくしない。これが大事です。

時間を測って、回復に全力投球する

パニックの時、僕はだいたい時間を測ります。5分なのか、10分なのか、15分なのか、20分なのか。

毎回測って記録していくのがすごく大事で、毎回5分ですぐ収まる子と、20分くらい長丁場になる子では環境設定の整え方が変わってきます。

収まった後に「これしなきゃダメだよ」と言うと、その言葉に反応してまた爆発したりします。

まずは「よしよし、大変だったね」と共感してあげること。

その日は何かをさせようとするんじゃなくて、回復させるのに全力投球した方がいいかなと思います。「わかったよ、わかったよ」と、そこからは優しい言葉をかけてほしいですね。

クールダウンの場所は「避難所」

お家や教室の一角に、必ず落ち着ける小さな避難所を作っておいた方がいいかなと思います。

コメント欄でも「お家が狭い」という声をよく見るんですが、段ボールでもなんでもいいので、区画をちょっとだけ作ってあげる。本当にちょっとだけで大丈夫です。

狭い場所、何かの下。子供って意外とそういう場所で落ち着くんですよ。

「疲れたらここでゆっくり休もうか」と、日頃から気持ちを整える訓練をしていくことが大事です。

取り違えると何が起きるか

最後に、癇癪とパニックを取り違えると何が起きるのかを軽くお話しします。

パニックを叱ると、心が傷つく

パニックを癇癪と勘違いして叱ったり説得したりするとどうなるか。シンプルに心が傷つきます。

限界を超えた後に負荷をかけるわけなので、嫌な気持ちだけが大きく残るんですよ。

そうすると、何かをしようとした時に不安がありすぎて行動できなくなったり、大人への不信感につながったりします。

パニックは叱らない。これが一番大事です。

これが続くと自信を失って、気持ちが落ち込んで、二次障害的な辛さになることもあります。

癇癪をよしよししすぎると、誤って学ぶ

逆に、癇癪をパニックと勘違いしてよしよししすぎると、これは誤って学んでしまいます。

「泣き叫べば通る」という学習が強化されすぎると、特に発達障害の子の場合は難しいことが多くなりすぎるんです。

複雑なことを考えたり、相手の気持ちを含めていろんなことを同時に処理したりするのが難しいのが発達障害かなと思っています。

そんな子たちだからこそ、「泣き叫べば通る」を言葉じゃなく感覚として覚えてしまうと、修正するのがかなり大変です。

僕もそうなんですが、2年生や3年生くらいまでここが理解できずに大きくなった子を学習支援や療育で見た時に思うのは、「うわ、変えられないな」ということです。

変えられないというか、時間がかかる。すぐにはいかないことが多くなります。

泣いていたらかわいそうなんですよね。でも、癇癪には一貫した対応を続けないと、後々本人もお父さんお母さんも苦しくなります。

まとめ:見た目は同じ、中身は真逆

癇癪は、目的のある行動。パニックは、脳の負荷が限界を超えてしまった過負荷の状態。

見た目は一緒ですが、中身は真逆です。だから対応も真逆になります。

癇癪には、折れない一貫性と、正しい伝え方への置き換え。パニックには、前触れでのずらしと、爆発したら叱らず安全確保と刺激減らし。

「うちの子はどっちなんだろう」という目を持つこと。それが今日の一番の持ち帰りです。

どちらか分からない場合は、幼児期なら健診や園、地域の相談窓口に、小学生なら特別支援コーディネーターに相談してほしいなと思います。

もし今まで取り違えていたかもしれないと思った方がいても、自分を責めないでください。今日から見る目が変わるだけで、対応は変えていけます。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

また次の記事でお会いしましょう。皆様よき療育ライフを。

ゆう先生
相談支援員・児童発達支援員
富山県富山市で児童発達支援、学習支援、相談支援などを行なっています。またYouTubeやInstagramなどでも療育のアレコレを発信中。
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