【IQ検査】WISCの結果の見方を解説。発達障害児や知的障害児の就学時検診に向けて情報整理を行おう。

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こんにちは、ゆうです。

今日は「WISC(ウィスク)の結果から分かること」というテーマでお話ししていきたいと思います。

ゆう先生

必要な方はメモなどを取りながら見てね!

助手くん

分からないことがあればインスタでDMください。

WISCや田中ビネー検査を受けると、IQの数値が出てきますよね。

でも、この数字ってどう見ればいいんだろう?と迷う方も多いんじゃないかなと思います。

先にお伝えしておくと、今日の内容は、僕が発達支援の専門家として「WISCの検査用紙をこう見ています」というお話です。

厳密には、お医者さんの見方と少し違う部分もあるかもしれません。

なので、参考程度に読んでいただけると嬉しいです。

結論を言うのであれば、全検査IQの数字1つだけで判断しないこと。今日はそんなお話です。

目次

そもそもIQって何?85と70の意味

まずはおさらいとして、IQって何なのかをお話しします。

僕の動画や記事でもよく「IQ85」「IQ70」という数字が出てきますよね。

IQは平均が100で、標準偏差という「15ずつの区切り」で見ていくものです。

IQ85は「平均から1段下」

IQ85というのは、平均の100から標準偏差1つ分下にある数字です。

同じ年齢の子の平均を100とした時に、1ランク下くらいのイメージでいいのかなと思います。

文字を読む力、お話する力、物事を覚えていく力。

そういういろんな力を総合した時に、少しやりづらいところがある状態かなと思います。

小学校低学年くらいだとあまり目立たないんだけど、学習が難しくなる中学年あたりから勉強が分からなくなったりします。

生活の中でも、お父さんお母さんが「やってね」と言って「分かった」と返事はするけど、忘れてしまったり、できなかったり。

思ったよりもそういうつまずきがある子かなと思っています。

IQ70は「平均から2段下」

IQ70は、平均の100から標準偏差2つ分下にある数字です。

読む力、記憶する力、人の話を聞く力などが、その年代の平均より2段下という感じですね。

文字や数の概念があいまいだったり、言われたことがうまくできなかったり。

感情の起伏が激しくなったりと、いろんなことが起こってくるのがこのあたりかなと思っています。

IQは「地図の上の現在地」

IQは順位付けではありません。

平均の100を真ん中に置いた時に、自分の子が高いところにいるのか、低いところにいるのか。

その地図の上の現在地を見るためのもの、と思っておくのが僕はいいのかなと思っています。

ただし、数字で「支援の入り口」は変わる

参考程度とは言ったものの、85と70のラインで支援の入り口が変わる、というのは覚えておいてほしいところです。

例えば療育手帳だと、IQ85前後の境界知能の子は基本的に対象外になります。

一方で、IQ70の知的障害に該当する子は交付される、という感じですね。

これは制度の問題なんですけど、IQの数値によって受けられるものと受けられないものがあるということです。

最初に見るのは「信頼区間」

さて、ここからが本番です。

WISCの結果を見た時、多くの方が全検査IQを中心に見てしまいます。

でも、僕がWISCで一番最初に見るのは、IQの隣に書いてある信頼区間です。

「90%信頼区間」や「95%信頼区間」として、幅が書かれているところですね。

検査の点数は、その日の疲れや緊張、検査者との相性などで変動します。

これ、すごく大事なことなんですけど、数字は変わるんですよ。

今日は70だったけど、次の日にやったら75になっている可能性もあるわけです。

全検査IQだけをバチッと見てしまうと、「うちの子はこうなんだ」と思ってしまいがちです。

でも正しくは、数字は「点」ではなく「幅」で受け取ることがすごく重要かなと思っています。

WISCの5つの指標を知っておこう

WISCには、全検査IQの下に5つの指標があります。

この別々の力を見て、その上で凸凹を見ることが、療育ではすごく重要だと僕は思っています。

  • 言語理解:言葉で考える力、言葉をつかむ力
  • 視空間:形や位置をつかむ力(パズル的な要素)
  • 流動性推理:初めての問題から規則性を見つける力
  • ワーキングメモリー:聞いた情報を頭に置いたまま、うまく活用しながら作業する力
  • 処理速度:手を動かして、素早く正確にこなす力

この5つの力には、それぞれに点数がついています。

全検査IQだけ見ると失敗しやすいんですけど、この個別の数字を1つずつ確認するのがめちゃめちゃ重要かなと思っています。

本当に見るべきは「凸凹の落差」

「85」の中に105と70が隠れている

例えば、言語理解が105だったとします。

言葉としてはいろんなことが分かっている子ですね。

なんだけど、処理速度が70。

落差が35あるわけです。意外といるんですよ、こういうタイプの子。

この場合、全検査IQだと85と出たりします。

そうなると、全検査IQだけを見て「全体的に低めなんだな」と受け取られてしまうんです。

でも本当は全然違っていて、理解力はしっかりあるんですよ。

ただ、板書などの手を動かす作業がめちゃめちゃゆっくりな子なんですね。

パソコンで言うなら、頭の中で考える部分はしっかり動いているのに、印刷するプリンターがゆっくり、というイメージかなと思います。

だから大事なのは、何が高くて何が低いのかを見て、一番高いものと一番低いものの落差を見ることです。

落差があまりなくて全体的に低い場合は、知的障害と言います。

逆に落差が大きい場合は、ある意味「発達特性気味かな」と僕は見ています。

「できるはずなのに怠けている」が生まれる場所

凸凹が大きい子は、頭の中では分かっているのに、書くのが追いつかないということが出てきます。

これ、周りから見ると「できるはずなのにやらない」「やる気がない」と見られやすいんですよね。

「あんなにちゃんと話を聞いていたのに、なんでできないんだろう」と思ってしまうわけです。

しかも本人もそれに気づきやすいので、「なんで僕はこんなこともできないんだろう」と自己肯定感が下がってしまう。

見えている「怠け」は氷山の一角で、その下には本人のSOSが隠れていることが多いんです。

WISCのこの「差」の部分を見ると、そこがすごく分かりやすくなるって感じです。

全検査IQが100でも、しんどい子はいる

全検査IQが平均の100だったとしても、言語理解が120で処理速度が75だったらどうでしょう。

先生の話は分かるのに、板書するスピードが追いつかない。

分かっちゃいるけど授業が速すぎる、という状態になるので、学校生活は結構しんどいはずなんですよね。

だからこそ、全検査IQの数字より、5つの力のバランスを見ることがWISCではすごく重要だと思っています。

IQは将来を決める数字ではない

もう1つ大事なことがあります。

IQは、将来を決める数字ではありません。

理由は2つです。

まず、知能検査が測っているのは「認知処理」という限られた面だけだということ。

そして先ほどの信頼区間の話の通り、数字は日によって変わるということです。

皆さんは「EQ」という言葉を聞いたことがありますか?

社会的な知性のことなんですけど、優しさや粘り強さ、創造性、人との関わりといった魅力は、IQでは一切測っていないんです。

でも社会で生きていくためには、そういう優しさや粘り強さが意外と重要だと言われています。

だからIQが低いだけで人生がダメ、ということはありません。

見るべきは、何が得意で何が苦手なのか、その開き具合かなと思っています。

検査用紙を読む5つの手順

では、僕が療育施設で実際にどんな順番で見ているかをお話しします。

手順1:信頼区間を見る

数字はピタッと見るのではなく、「ここからここまで」という幅で受け取ってください。

手順2:全検査IQで「地図の現在地」をつかむ

平均と比べて、だいたいこのあたりにいるんだな、と大まかに把握します。

手順3:5つの指標を並べて、最高と最低の差を見る

言語理解なのか、処理速度なのか、推理なのか。どこに高低差があるかを見ておきます。

全体的に低いのであれば、知的な課題がある状態です。

その場合は、生活のスキルも勉強のスキルも、基礎から1つずつ積み上げていくのがすごく重要です。

逆に開きがある場合は、例えば書くのが苦手な子ならマス目を変えてみる、板書を写真に撮らせてもらう、といった合理的配慮をしていく形になります。

手順4:同年代ではなく「その子自身の平均」と比べる

ここはぜひやってほしいところです。

例えば全検査IQが85なら、その85を中心にして、何が高くて何が低いのかを見ていきます。

言語理解が72で視空間が88だったら、見て組み立てる力がこの子の武器になるわけです。

言葉で言われるとよく分からないこともあるけど、見たものには強さがある。

だったら勉強させる時も、言葉で説明するより、まずは図に書いて見せてみる。そういう発想になります。

手順5:強みを通る道で学び、苦手は環境で補う

強み(ストレングス)が5つのうちどこにあるのかを見つけたら、できる限りその強みを活かして勉強や生活をしていきます。

苦手な部分は、本人の力で覚えさせるのではなく、視覚的に提示するなど環境の力を借りることが大事になってきます。

数字を「支援」に翻訳する例

ここからは、検査結果を具体的な支援に置き換える例をいくつか紹介します。

言語理解が低い時

例えば全検査IQが88で、その中でも言語理解が70近辺と低い場合です。

  • 抽象的な言い方を避け、短く具体的に伝える
  • 口頭の指示は一度に1つか2つまで
  • 絵や写真を添える
  • 本人が話す時は急かさずに聞く

ワーキングメモリーが低い時

これ、結構多いんですけど、ポイントは頭の中のものをどこかにバックアップすることです。

  • 指示を口頭だけにせず、メモやホワイトボードに書き出す
  • 暗算は無理をせず、繰り上がりの数字を余白にメモさせる
  • 作業は小さなステップに分ける

処理速度が低い時

板書などが遅くなりがちなので、時間制限のあるテストは最後まで解けないことがあります。

合理的配慮として、テスト時間の延長をお願いすることも考えられます。

ほかにも、タブレットで板書を撮る、問題数や量を減らしてもらう、選択式にしてもらうなどの方法があります。

特に学習障害的な要素が重なっている子は、配慮してもらえる可能性が高いかなと思います。

視空間が低い時

マス目に文字が収まらない、展開図が分かりにくい、ということがあります。

大きめのマス目のノートや教材を使っていくのがいいかなと思います。

何にせよ、苦手を鍛えるより、負担を軽くする方が解決は早いです。

ご家庭でやることも、学校に伝えることも、「負担を軽くする方向で、こんな配慮をしてください」という形がいいのかなと思っています。

検査結果は誰に持っていく?

検査用紙の読み方が分かったら、次は誰に伝えるかですね。

基本的には、学校の特別支援教育コーディネーターか担任の先生に持っていくのがいいかなと思います。

就学前であれば、まずは教頭先生などにお話しすることになるのかなと思います。

「こういう弱みがあります」「こういう強みがあります」と、書いて伝えていくのが大事です。

「全検査IQが低いから、もう知的学級です」と決めてしまうのではなく、凸凹を見ながら学びの場を一緒に決めていく。

それがすごく重要かなと思っています。

まとめ:WISCは「数字」より「凸凹」を見る

今日は、WISCの結果の見方についてお話ししました。

まずは信頼区間で幅を見る。全検査IQで現在地をつかむ。

そして5つの指標の凸凹を見て、強みは活かし、苦手は環境で補う。

IQの数字は、その子の将来を決めるものではありません。

検査結果は、その子に合った関わり方を見つけるための地図だと思って、ぜひ前向きに使ってみてください。

僕はお医者さんではないので、厳密な見方として100%ではないかもしれません。

ただ、療育をする立場として「こう見ています」ということをお伝えしました。参考にしていただけたら嬉しいです。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

また次の記事でお会いしましょう。皆様よき療育ライフを。

ゆう先生
相談支援員・児童発達支援員
富山県富山市で児童発達支援、学習支援、相談支援などを行なっています。またYouTubeやInstagramなどでも療育のアレコレを発信中。
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